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ロビン・シックの新作では、ボッサやラテン系もいい
(3 min read)
Robin Thicke / On Earth, And In Heaven
萩原健太さんに教わりました。
アメリカ人シンガー・ソングライター、ロビン・シックの新作『On Earth, And In Heaven』(2021)がかなりいい。前作から七年ぶりとちょっとごぶさただったもので、かつてのブルー・アイド・ソウル風味は若干鳴りをひそめ、もっとジャジー、ファンク、ボサ・ノーヴァ、ラテンっぽい感じに仕上げた作品です。
オープニングを飾る「ラッキー・スター」から、いきなりいい塩梅のボッサ・ポップで、ぼく好み。ジャジーでもあるし、思わずほおがゆるみます。こういった軽快でソフトでなんでもない感じの、肩肘張っていないというか、押しつけがましくないクールなフィーリングは、もともとロビンの持ち味だったもので、うれしいですね。
2曲目「オラ」はスペイン語題ということでラテン・ミュージックっぽいのかと思うと、さにあらず。ソウル/ファンク色の濃い一曲ですね。特にこの特徴的なベース・ラインがいかにもファンキーで、しかもスティーヴィ・ワンダーの書きそうなラインそのまんま。しかもポップですよね。このベース・ラインを思いついたことだけでこの曲はイケたも同然です。
3曲目の「ローラ・ミア」は完璧サルサなラテン・ナンバー。こういうのが混じっているのが今作でのロビンの特色で、こんなのいままでありましたっけ?サルサ曲ではありますが、ロビンのヴォーカルのフィーリングはラテン系の強めのハリのあるそれではなく、もっとあっさり軽いのがらしいところ。でもリズムやホーン・リフなんかはばっちり決まっています。ラテンなフルートもいいですね。
その後はふたたびの軽いボッサ・ポップな6曲目「アウト・オヴ・マイ・マインド」などもはさみながら、ロビンの代名詞的なブルー・アイド・ソウル色も出しつつ進みます。10「フォーエヴァー・マイン」、11「ザッツ・ワット・ラヴ・キャン・ドゥ」なんかは必殺スウィート・ソウル系バラードですね。もちろんこういったのもグッド。
ちょっとドゥー・ワップふうなコーラスの入る7曲目「ビューティフル」も同系統だと言えましょう。こういうのが近年のロビンの得意路線としてやってきたものなんで、おなじみではありますが、あいかわらずいい味出していますね。でも今作ではアルバム前半のボッサ、ラテン系がとてもいいフィーリングなので、そっちに耳を持っていかれちゃいますけど。
(written 2021.6.10)