しんどいとき助けになる音楽(35)〜 カウント・ベイシー&カンザス・シティ7
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Count Basie and the Kansas City 7
音のよい戦後録音でカウント・ベイシー・バンドの実力がとてもよくわかる『Count Basie and the Kansas City 7』(1962)は、むかしもいまもぼくの大推薦アルバム。しかもここでは少人数のコンボ編成でモダン。
ベイシー・バンドが編成を小さくしてやるときには戦前からカンザス・シティ6とか7とかの名前をよく使うんですよね。このアルバムのばあいは細かい部分までかなりしっかりアレンジされているなという印象があって、リズムのストップ&ゴーとかホーン・リフのフレーズや出入りなど、譜面なしでは不可能な内容。
アレンジを書いたのはフルートで参加しているフランク・ウェスでしょうね。細かくていねいに練り込まれていながらも、このカンザス・バンドのイキイキとしたスポンティニアスさをちっとも殺さずかえって引き立てるみごとなアレンジ手腕と思います。
ソロをとるメンバーのなかでは、特にベイシーのピアノが目立ちます。思わず「うまいなぁ〜」と声が出そうになるほどの闊達さで、といっても例によって音数はかなり少ないんですが、要所のみを確実に押さえていく様子はさすがとしか言いようがありません。
そのベイシーのピアノを中心とする4リズムのまるで生きもののような躍動感こそ本作の聴きどころ。フロントで吹かれるホーン・ソロはそんな特筆すべきできばえでもないように思いますが、リズム・セクションのピチピチしたみずみずしいスウィング感ですべてを納得させてしまうものがあります。
(written 2023.10.2)