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ドイツ発若手レトロ・ジャズ 〜 チモ・ニステロク
(3 min read)
Thimo Niesterok / Stepping Forward
チモ・ニステロクは現在ケルン在住1996年生まれのドイツ人若手ジャズ・トランペッター。最新作『Stepping Forward』(2023)にたまたま出会う機会があり、それで知りました。な〜んとディキシーランド/スウィング・ジャズにフル傾倒しているという音楽性で、なんだか最近増えてきていますよね。
レトロっていうかルーツ・リスペクトっていうか、こうした流れはあきらかに大きなものとなっていて、好き嫌いは別にして、だれしも無視できないトレンドになっているといえます。
チモの本作はドラム・レスのカルテット編成で、自身のトランペット or コルネットにギター、ピアノ、ベース。ドラマーがいないというのがサウンド全体におだやかな落ち着きをあたえていて、成功していると思います。
曲は自作オリジナルとカヴァーがまざっていて、カヴァーはたとえば「ローズ・ルーム」「ディッキーズ・ドリーム」「ペニーズ・フロム・ヘヴン」なんて完璧に古いもの。モダン・ジャズ以後はだれひとり演奏するミュージシャンもいなくなったものですよ。チモの趣味がよくわかりますね。
演奏しているトランペットの音色やフレイジングがこれまたレトロで、まるでボビー・ハケットやハリー・ジェイムズを思い起こさせるもの。こうしたスタイルを20223年のそれも新作で聴くことになるなんてねえ。
オリジナル曲もいいですよ。それらだってオールド・スタイルにぴったり照準があっています。ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」をソロの途中で引用してみせたりも近年のレトロ志向のなかでは通常のこと。
個人的にことさら気に入ったのが10「Home」。これもチモの自作なんですが、ピアニストが無伴奏ソロで弾くショウケースになっているんですね。一部トランペットも出ますが、あくまでこの曲の主役はソロ・ピアノ。それがおだやかでやさしく美しいので、感動してしまいます。
(written 2023.11.25)