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The curious journey of Coco Bryce from UKF (和訳)

UKFが長いキャリアを持ち、ブレイクビートという音像の長い歴史をその目で直接見てきたCoco Bryceへインタビューをした2018年の記事。
長いDJキャリアにおける彼なりの”戦略“に大きな影響を与え、人生を変えるきっかけとまで言わせた6つの楽曲について紹介する記事を和訳した。

The curious journey of Coco Bryce

音楽ジャンルの進化は、多くの分岐点を取り込み、さらに重要な交差を形成してきた。
特に近年では接続性や流通、消費、マーケティングの影響力がますます大きくなっているために、その風景は大きく変化している。
アーティストとしてこのサウンドスケープ──音風景を案内するには柔軟性が求められる。
もし自分の信念を再び検討して、理想を変えなければいけないとしたら、どこまで準備ができるだろうか?

Coco Bryceはその多くのジレンマを対処してきたが、大抵の場合はそう簡単に答えが出るものではない。
20年以上にわたってDJ, プロデューサー, レーベルのマネージャーとして関わってきた彼は、ブレイクビートという音楽の形成期から現在の最前線の発展に至るまでの全てを彼は見てきたのだ。
このタイミングはとても素晴らしいものだった。特徴的な彼のジャングルへの姿勢というのは世代間のギャップを埋め、本質的には時代を超越した要素と、彼の新鮮で多才な取り組みを融合させている。

我々は彼の旅路に密着した。
この記事では彼のマインドに共鳴し、長年にわたる活動にインスピレーションを与えてきた6つの曲にも注目している。

・ここ数年でジャングルを製作するようになったきっかけは何ですか?
幼い頃からスケートビデオを見たりして、いろんな音楽を聴いてきたんだ。飽きているというわけではないんだけど、一つのジャンルに何年も固執するのは難しいんだよね。
90年代後半に音楽を作り始めた頃は、典型的な四つ打ちの構造を中心にしたものが多かった。今でも色々なスタイルのものを作っているけど、その間に焦点は移っていったんだ。

それはアーティストの曲調が変化し続けているのに対して、リスナーは関連性や個人的な好みがあるために昔の作品を好むような、アーティストと音楽の変化という共通のテーマですね。
もっとそういったケースが増えればいいとは思うんだけど、実際に25年間同じことをし続けてきたプロデューサーの多さには驚かされるよ。僕にはできないね。
でも、一度高いレベルの認知度に達してしまうとその型にはまらないから、ある程度の余裕があった方がいいと思う。
一度特定のジャンルに絞ってしまうと、思い切った方向転換でリスナーを怒らせないようにしながら、全く違うものに切り替えるのはとても難しい。
ジャングルに関しては、数年前にフットワークが流行りはじめたこともあって、ジャングルの中にもちょっとした流行のようなものが出てきているような気がする。
(主にローファイの)ハウスのプロデューサーの中には同じサンプルパックを使ってジャングルを作っていた人も居る。個人的にはそういうリリースも結構好きなんだけど、そういう人たちを"流行に乗っかっただけ"という人も沢山居る。でも、僕は曲の音が良ければ特に気にしないね。

・あなたはどうやって自分自身のサウンドを表現していますか?
ジャングルそのものの構造を失わないようにしながら、そこに何か変わったサウンドになる要素を入れることで、ジャンルの境界線を見つけようと常に心掛けてる。
ジャングルの定義の一つといえば、サンプリングされたブレイクビーツを使うことだし。

・あなたの場合、ジャングルがまた人気になる以前の時から焦点を当てていますが、今振り返ってみてタイミングは合っていたと感じますか?
実は最近、友人の一人が「もっと早くジャングルをリリースするべきだった」と言っていたんだ。今こそ僕のバイナルのほとんどがとても売れているのは事実だけれど、6年ほど前にリリースされたものの多くは(今ではほとんどが比較的価値のあるものになっている)、当時はあまり売れなかった。
それ以前にもスクウィーやインストゥルメンタルのヒップホップも何枚もリリースしていたんだけど、売れ残ったバイナルが沢山あったんだ。それでも昼間は仕事をしていたし、売れる枚数はあまり気にしていなかったね。

・現在は音楽で生計を立てているんですね。
2年前に宅急便の仕事は辞めたけど、たまに同僚の代わりに手伝ったりはしていたよ。最後にやったのは半年以上も前だから、今は少しずつ音楽で生計を立てられているかな。

・今の生活はどんな感じでしょうか?
どちらかというと夜型の人間だから、朝5時に起きなくていいのはとても良いね。
だけど、本当に外部からの義務がないと、サボったり気晴らしに時間を使うことが凄い簡単になってしまうね。幸いにも僕は先のことを考えるには十分な年齢だけど。

・現在の状況はあなたの創造的な作曲活動を後押ししていますか?
これはちょっと賛否両論あるかもしれない。昼間に仕事をしていると、残った空き時間を有効に使おうとする傾向にある。これは自然の法則のようなものだ。いつもあるわけじゃないから、空き時間にありがたみを感じるのさ。
代わりに空いている時間の方が多いと、何か重要なことを次の日に先延ばしできる、という考えになりやすいと思う。それは、自分を律する気持ちが欠けているともっと問題になりやすい。
もちろんアイデアが全然浮かばない時期もあるし、逆に何時間もスタジオでドラムの制作をしている日もある。
フルタイムの仕事をしている場合は、こういったプロセスを先延ばしにしても特に影響はないだろうけど、この作業に生活が懸かっている場合は、その影響はとても大きいものになるかもしれない。レコードをリリースしなきゃ、結局ブッキングの量は減るからね。

・スタジオではどのように作業に取り組んでいますか?

これはちょっと決まり文句かもしれないけど、僕は"少なき事は豊かな事"を信じてるよ。僕の環境はかなり基本的なもので、パソコンにAbletonとVSTが入ってるだけ。
前にとても大きいMIDIキーボードを買ったことがあるんだけど、今は埃を被ってて、結局パソコンのキーボードで代用してる(笑)
95年頃にDJを始めた頃は、たった数種類の音だけで本当に魅力的なトラックを作れるアーティストが居ることにとても驚愕したよ。「どうやって作るんだ?」ってね。
でも、僕にとっては、ほんの少しの要素で本当に価値のある音楽を作るということはとても面白いことなんだよね。

・音楽配信や現在の市場に適応することにおいて、オンラインメディアに注力しているという点ではどういった経験をされてきましたか?

Spotifyのようなストリーミングサービス上でリリースすることが多くなってきているね。Bandcampでは10年ほど曲をリリースしてきた。
振り返ってみると、Bandcampをきっかけにジャングルの制作に関わるようになったのは面白いと思う。数年前に僕の曲が2つピックアップされて、Hotline Miami 2というビデオゲームの中で紹介されたんだ。そのロイヤリティとストリーミングサービスからの収益で仕事を辞めることにした。
数年前からジャングル、ハードコアのEPをバイナルでリリースしたいと考えていたんだけど、それまではお金の無駄だと思っていた。でも、自分自身に言い聞かせていたんだ。
「もういいや、いつか余裕が出てきた時にお金が無くなってもいいからやってみよう」と。それで、その楽曲の収益でMyor MassivというJungleのサブレーベルをスタートしたんだ。最初のリリースでは黒字になるとは思っていなかったんだけど、最初にリリースしたバイナルは全て完売したんだよね。

・今後のCoco Bryceの活動について(2018年当時の話です)
11月17日に地元ブレダのTribeで、11月24日にロンドンのDistant Planetで、その翌週にはTilburgとNijmegenでのギグがあるんだ。
さらに、来年のUKでのギグもいくつか決まっている、そこでプレイするのはいつも楽しいよ。
新作のリリースに関しては、もうすぐDubcoreからバイナルをリリースするよ。もうすぐDubcore、7th Storey Projects、Myor Massiv、Fresh 86からバイナルをリリースする予定で、現在フルアルバムを書いているところだ。
それに加えて、新しい四つ打ちのハードコアのレーベルも準備中で、最初の12インチは2019年2月頃にリリースされる予定だ。

Six tracks that change the life of Coco Bryce
Coco Bryceの人生を変えた6つの楽曲

Les Boucles Etranges – LBE 03

2000年代初頭のスクワット・レイヴ(廃墟や倉庫などを不法に占拠して行われるレイヴ)では毎週のようにこの曲を流していたよ。
これらのフリーパーティーでプレイされていた多くのテクノやハードコアが同じように聞こえたのに対し、Les Boucles Etrangesは全く異なるサウンド・パレットを使用していて、ドラムと完全に同期していないサンプルやループを使用することが多くて、かなりカオスなコラージュ・サウンドを作り出していた。
僕が思うに、彼らはおそらくハードコアのアクトの中でも最もフリージャズの精神に近い存在だと思うよ。

Cyborg Unknown – Return Of The Cyborg Unknown

PCP(フランクフルトを拠点とするこれまでに最も多作なハードコア・レーベルの一つ。1996年末に解散した。Thorsten LambartとMarc Traunerによって設立されたレーベルで、メインレーベルはDance Ecstacy 2001。)
多くのアンダーグラウンド・アンセムを生み出してきたが、このトラックは彼らの中でもあまり知られていない曲の1つだ。
95, 96年には地元のガバのパーティーや数年後のスクワット・レイヴで定期的にプレイしていたね。そして今でも機会があればいつでもプレイしているよ。

Ill Suono – Angel Beat (Dabrye Remix)

これまでに聴いたことのないような、その時代を決定付けるようなバイナルだ。ヒップホップでありながら、そういった概念を遥かに超えたトラックだよ。
Dabryeはまだ12枚ほどしかリリースしていないにもかかわらず、多くの人(私も含めて)から『エレクトロニック・ヒップホップ』という特定のジャンルの創始者と見られている。何年も先を行っている存在だよ。

Slugabed – Here You Are

僕が今までで一番好きなプロデューサーの一人だね。
2010年代の初めに彼の曲をいくつかリリースし、彼と一緒にたくさんのギグをプレイできたことは、僕にとって非常に幸運なことだと思ってるよ。

Dead Man’s Chest – Fade Away

最近の自分のセットには必ず一曲は入れているプロデューサーが二人いて、そのうちの一人がDead Man's Chest、もう一人がFFF。
お気に入りを1曲だけに絞るのは不可能だけど、あえてこの1曲を選ぶことにする。
彼がリリースしたほとんどの曲がそうであるように、 ”最後までローファイでありながら新鮮である“というものを彼のサウンドに落とし込めていると思う。

FFF – Never Let You Fall

もう一度言うけれど、お気に入りを選ぶのは難しいが、これは彼の中でも最も奇妙なサウンドの曲の一つだ。僕のレーベルからこれがリリースされたなんてとても光栄だね...
不気味なパッドやコードと高揚感のあるボーカルの組み合わせは、僕を愉快な気分にさせてくれたし、今でも聴くたびに僕のことを魅了してくれる一曲だ。

元記事:THE CURIOUS JOURNEY OF COCO BRYCE

Listen to Coco Bryce: (Facebook / Soundcloud)

Translator: Hisaki (Twitter / Soundcloud)

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