東西南北
週に一度くらいの割合で、「森有正」をキーワードにネット検索をします。貧しいながら関連サイトを運営する身として、定期的な情報収集は欠かせません。
で、先頃ゲットしたのが、なんとぼくの母校の和光大学HPに掲載された「東西南北1993/あなたと私の世界」(Web版)。な、懐かしい先生のお名前が次々と……。フランス語を教わった杉本紀子先生、美学の講義に列した針生一郎先生、近代文学史の塩崎文男先生etc.。ほんと、昔を思い出しますよ。
「文化としての言葉—あなたと私の世界」と題したシンポジュウムの基調報告のなかで、当時の学長・杉山康彦先生は、森有正のいわゆる二項方式に触れていらっしゃいます。〈日本人においては「汝」に対立するのは「私」ではなく、「汝」の「汝」である。つまり、すべては「私と汝」でなく「汝と汝」の関係の中に相対する〉と。
そして意外でもあり面白かったのが、言語学者の鈴木孝夫さんの中にこの二項方式の論と重なる分析を見いだしているところでした。ぼくもかつて鈴木さんの『ことばと文化』(岩波新書)を読んだことはあったけど、二項方式との関連は考えなかったから。
シンポジウムでは森有正に言及する場面が多くて、10年以上も前のこととはいえ、うれしかったですね。(2005.05.01)