図書カード
図書館で読んだ本の図書カードに、自分よりいつも先に同じ名前が書いてあるのを見つけてしまう主人公のシーンが印象的な、アニメ作品「耳をすませば」。昔は確かにカードで書籍が管理されていて、誰がいつ借り出した本なのかが残るのでした。今は、特に大きな図書館では履歴はコンピュータの中にしか残りませんね。
さて先日、市立図書館から森有正の『思想の自由と人間の責任』(日本評論社)を借りてきましたが、まさしく古書の趣。全体が変色してシミだらけ、開くと書き込みまであります。それに、最近では見かけることもなくなった図書カードが、未だにポケットに差し込んであって。全体がデジタル管理になっても、古い蔵書のカードは処分されていないようです。
昭和25年刊行のこの書籍は、すぐに市立図書館の蔵書になっています。読者層が20歳前後だとすると、『思想の自由と人間の責任』の図書カードに名前が残っている方たちの多くは、既に鬼籍に入っているのかもしれません。ぼくの名前をこっそり書き加えたりして……は、いけませんよね。でも何となく、仲間に加わりたいような。(2008.05.23)