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がんと『お茶』

「お茶」は、日本人にとって、大変身近な飲み物です。
そんな身近な飲み物である「お茶」に、がんを予防する効果があるとしたら、どうでしょうか?
本日は、のどが渇いて何を飲もうか迷った時、第一選択として「お茶」を考えてみてはいかがでしょうかという提案です。

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▼「お茶」パワー!
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「お茶」に含まれるカテキン(エピガロカテキンガレート(EGCG))は、抗がん作用を有する事が知られております。茶カテキンは、抗がん作用の他に肥満や糖尿病、心血管疾患、痴呆や虫歯を防いだりする効果があるといわれています。
さらに「お茶」には、カテキンのほかにも、テアニン、カフェイン、GABA、ビタミンC、カリウムなどが含まれており、それらが総合的にかつ色々な効果を発揮することで、最終的に「お茶」をよく飲む人は健康で長生きであるとされています。
鎌倉時代に「お茶」を広め、日本のお茶の歴史を大きく変えたとされている栄西は、その著書「喫茶養生記」にて、
「貴いかな茶や。上は諸天の境界に通じ、下は人倫を資く。諸薬は各々、一種の病の薬たり、茶葉よく万病の薬たるなり」と述べています。
もちろん鎌倉時代には、エビデンスはなかったでしょうが、色々な病気に効くことは既に知られていたようですね。
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▼カテキン(EGCG)と「がん予防」
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がん細胞を用いた実験や動物実験レベルでは、茶カテキン(EGCG)が「がん」を抑制する効果があることが示されています。
EGCGが、がんの増殖に関与する細胞内シグナル伝達経路の一つであるPI3K/AKT経路やMAPK経路を抑制することで、その効果が発揮されるとされています。
ではヒトではどうかというと、国立がん研究センターが行ったコホート研究の結果では、特に女性において、お茶を1日1杯未満のグループに比較して、それ以上お茶を飲むグループでは「胃がん」にかかるリスクが低下していたとのことでした。
緑茶に関する29の研究をまとめたメタ解析では、乳がん、卵巣がん、大腸がん、肺がん、前立腺がんのリスクを軽減させる効果が期待されるとのことです(The American Journal of Clinical Nutrition, 2009)。
岐阜大学からの報告ですが、大腸ポリープを切除した方に緑茶抽出物を飲んでもらったところ、飲んでいない方の再発率が30%であったのに比べて、飲んだ方の再発率は15%であったこと。また、ポリープが再発した方においても、そのサイズが飲んでいない人に比べて小さかったとのことです(Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2008)。
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▼カテキン(EGCG)と「進行がん」
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進行した「がん」を「お茶」だけで何とかしようというのは無謀といわざるを得ません。
それは、現在私が調べた限りにおいて、いわゆる臨床試験として茶カテキン(EGCG)の進行がんに対する有効性を検証したものを発見することができなかったからです。
がん細胞実験レベルでは、色々な種類のがん細胞に対して増殖抑制効果が示されています。またさらに、抗がん剤とカテキンを併用することで、抗がん剤単独よりも高いがん抑制効果を示した研究も多数発見され、そのメカニズムも先に述べたもの以上に詳細に判明しているようですが、まだ?臨床試験としては行うに至っていないようです。
とはいえ、近年注目されているのが、がん幹細胞への抑制効果と免疫チェックポイント分子PD-L1の発現抑制効果です。
がん幹細胞とは、がんの根源になっている細胞で、このがん幹細胞は抗がん剤や放射線治療が効かない(抵抗性が高い)ため、抗がん剤でがんが治せない理由の最たるものです。この諸悪の根源であるがん幹細胞に対して、茶カテキンに抑制効果があるのではないかとされています。
また、がん免疫に重要な役割をもつ分子であるPD-L1に対しても、その発現を抑制する効果がありそうだとのことです。がん細胞がPD-L1を発現すると、本来であればそのがん細胞を退治してくれるリンパ球ががん細胞と認識できず(普通の細胞と間違って認識してしまう)、リンパ球から攻撃されなくなります(良くできてますね)。ですので、このPD-L1を発現しなくなれば、がん細胞はがん細胞としてリンパ球が認識できるようになり、攻撃対象と判断され排除してくれるようになります(この辺の仕組みを応用して作られた薬が免疫チェックポイント阻害薬ですね)。

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▼テアニン
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「お茶」にはカテキン以外にも色々な有効成分が含まれており、その中でも特に注目したいのが「テアニン」です。
こちらも細胞実験レベルにはなりますが、各種がん細胞に対して「テアニン」が抑制的に作用することが示されています。
抗酸化作用も有しているため、酸化ストレスによる疾患や老化などへの効果が期待されています。
また、お茶を飲むと「ホッとする」「リラックスできる」と感じる方は多いと思いますが、それらは「テアニン」による作用と考えられています。
その結果として、ストレスを軽減する効果があるようですが、さらに睡眠の改善する効果もあるようです。
睡眠の改善とは、寝付きが良くなったり、中途覚醒(夜に起きてしまう)時間の短縮、睡眠時間が長くなったと感じる人の割合の増加、睡眠により疲れがとれたと感じた人の増加などが認められたようです。
とはいえ、これは「テアニン」をサプリメントとして摂取した場合の結果です。
「お茶」には、「カフェイン」が含まれており、カフェインには覚醒作用があることはご存知かと思います。ですので、寝る前に「お茶」を飲むと眠れなくなるという方も多いのではないでしょうか(トイレにも行きたくなりますし)。
ですので、睡眠のサポートとして考えた場合は、「テアニン」をサプリメントとして摂取するか、水出し緑茶とすると「カフェイン」はお湯を使用した場合の半分しか出てこない(0℃の氷水だとさらにその半分)らしいので、一手間かける等の工夫が必要のようです。
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▼まとめ(というか個人的感想)
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「カテキン」や「テアニン」だけを摂取するという方法も、現在はそれぞれのサプリメントが比較的簡単に入手できるため、お手軽でよさそうですが、それらの成分以外にも色々な成分が相まって、「お茶」をよく飲む人が健康で長生きという結果になっていると考えますので、僕としてはサプリメントよりも「お茶」として摂取しようと思いました。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
また次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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