ミネアポリス年越しコンサート アメリカ•オーケストラ漫遊(17)
クリスマスからの旅行の最後、シアトルから自宅へ帰る途中、ミネアポリスに立ち寄り、ミネソタ管弦楽団のコンサートに行ってきた。「立ち寄り」とはいうものの、シアトルの空港では同じ時刻に隣のゲートからデトロイト便があったのだから、わざわざこのコンサートのために一晩ミネアポリスに行ったことになる。空港近くのホテルに泊まりLyftでダウンタウンへ向かった。行きつけのアイリッシュパブでFish & Chipsを食べて腹ごしらえをした。
ミネアポリスのコンサートホールはいつ行ってもワクワクする。年越しを祝うという特別さなのか、スーツやドレスを来ている人がとても多かった。12/31、1/1と続けてコンサートをする楽団はアメリカにはとても少ない。クリスマスが過ぎるとオーケストラも冬休みだ。
2023年12月31日 ミネソタ管弦楽団
12/312023, Sun, 8:30 pm, @ Orchestra Hall, Minneapolis, MN
Minnesota Orchestra
Angelica Cantanti Youth Choirs, Elizabeth Egger, director
Thomas Søndergård, conductor
Sir Stephen Hough, piano
Winter Bonfire Suite, Opus 122 / Sergei Prokofiev
Rhapsody on a Theme of Pananini, Opus 43 / Sergei Rachmaninoff
Selections from Nutcracker, Opus 71 / Peter Ilyich Tchaikovsky
やはりミネソタ管弦楽団の演奏は他とは違う。どの曲を演奏してもしっかりとしたボリュームで、そしてたぶん奏者もすごく楽しいんだと思う。
一曲目の(会場に行くまでそれがあることを知らなかったのだが)プロコフィエフの組曲「冬のかがり火」。演奏前に指揮者のSondergard氏から説明があったが、あまり演奏機会のない珍しい曲らしい。とても表情豊かな面白い曲だった。児童合唱が入る曲があるなど、年末を彩るのに相応しいプログラムだと感じた。
二曲目のラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」はソリストのSir Stephen Hough氏の演奏がとても魅力的で、素晴らしいオーケストラとの競演による第18変奏のメロディーは本当に見事だった。ソリストのアンコールはショパンのワルツで、引き込まれるような演奏だった。
休憩を挟んでの三曲目はチャイコフスキーの「くるみ割り人形組曲」。バレエ音楽の軽快なリズムが快く、児童合唱が効果的に使われる曲や「花のワルツ」のようにしっかりと聴かせる部分もあり、聴きごたえがあった。子供の頃ピアノでやったことがあったので良く知っているつもりだったが、聞き馴染みのない楽章もあり、少し意外に感じた。それでも、ミネソタ管弦楽団を聴きに行くといつもそうだが、ただ音楽に身を委ねていることが快感だった。
年末コンサートということでアンコールも演奏された。舞台上でシャンパンを開けるパフォーマンス、打楽器奏者にグラスを配って回るなど楽しい仕掛けと手拍子があり、大変な盛り上がりの中でコンサートが締めくくられた。
コンサート後には出口でシャンパンが振る舞われ、ロビーではジャズバンドの演奏に合わせて観客が思い思いにダンスをしているなど、年越しのカウントダウンに向けてお祭り騒ぎになっていた。気軽にステップを踏んでダンスができるというのが、アメリカ人らしいとも感じた。年を越すコンサートをする楽団がほとんどない中、ここに参加して年を越せたことはアメリカの中でもなかなかできない本当にいい思い出になった。
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