【一生使えるCS道具箱 4-1/X】明日から使える、雑談が生まれる問いかけと広げ方①
こんにちは。朝でも夜でも比留間です。経営管理・人員計画クラウド"Loglass"を開発・販売する株式会社ログラスのビジネス職8人目の社員で、2024年10月現在アカウントマネジメント部でカスタマーサクセスマネージャー(CSM)のスペシャリスト職として働いています。
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再開後、1記事目なのでライトにいきたいと思います。
「雑談」や「アイスブレイク」と呼ばれるもののたぐい、体感的に得意な人
のほうが少ないですよね。私は16Personalitiesで「運動家(ENFP)」(旧:広報活動家)なので、雑談にそんなに困ったことはないです。
ENFPの人のこういうところ、ちょっとうざいですよね。普通の記事だったら冒頭に読者の共感を誘うような段落を組み込むのですが、天邪鬼なことをわざとしてしまいました。
さて、世の中のビジネスシーンでの雑談だいたい「リモートワークの状況」や「天気」、「会社の制度」など当たり障りのない会話して、会議参加者が集まったら、さっと本題に入ってしまうことでしょう。
まずこれを読んでほしい
私には数名、私淑している方がいますが田中泰延氏はその一人です。
(むかし、大喜利に参加したらフォローしてくださってうれしい)
こちらの書籍のエッセンスを生かしながら、私がCSMやアカウントマネージャー(AcM)として、既存お客様と接する時の雑談が生まれる問いかけ、そしてその広げ方をお伝えしていこうと思います。
前提
前職やハイライトとなるキャリア、関与してきたプロジェクトといった、通り一遍の自己紹介は済んでいる。
相手の基本情報は、所属と役職、お名前と顔が分かっているだけで趣味などは分からない。営業担当から性格上の特徴やコミュニケーションスタイルなど、ビジネスコミュニケーションでエラーを起こさないためのかんたんな引継ぎは受けている。
そしてSaaS導入プロジェクトや運用・活用などの定例ミーティングで1回から数回、仕事のミーティングをしている。
このくらいがよくあるシチュエーションと思われるので前提とします。
問いかけその①「今の部署に勤められて何年くらいなんですか?」
ご転職あるいは異動してきて着任した方を除いてほとんどどなたでも対象となる非常に汎用性の高い問いかけになります。
大きく2つ意図があり、この問いかけだけで完結はしませんが、①相手の社内における人間関係・位置づけと②相手の持つ知識体系・判断基準に仮説を持つことを意図しています。
①相手の社内における人間関係・位置づけ
メンバーレイヤーで現在の部署に在籍して1,2年であれば、まだまだ年次業務をマネージャーや先輩メンバーからフォローしてもらいながら行っている可能性が高いです。
転職してきて新天地で活躍したいときっと思っているでしょうし、日頃の業務をしっかりこなせるようになりたいと思っているはずです。そうした方を私たちCSMは助けないといけません。
こちらの反応としては特に奇をてらう必要はありません。「もう慣れましたか?」であったり、「ほんとですか?XXさんはYYさんのこと信頼してそうに見えるので、もっと長くいらっしゃると思いました」など、へりくだり過ぎず、自分の見立てをフラットにリアクションするとよいです。
この在籍年数の答えから、クラウドサービス・システムの導入、運用・活用において発言権・影響力が相対的に高くないことが分かる一方で、運用定着のためにはこの方がしっかりと理解し、自信を持って操作できる状態にならなくはいけないことも分かります。
メンバーレイヤーで在籍年数が長い場合、業務を熟知しているそのメンバーに対して、マネージャーの信頼が厚いことも多いです。そのため、導入プロジェクトや運用・活用において、その方の意見を尊重して、進めるのが吉です。
このように仕事は完全情報ゲーム(将棋のような、プレイヤーがゲームに関する情報をすべて持っているゲーム)にはなりませんが、不完全情報ゲーム(ポーカーのような、プレイヤー間でゲームに関する情報に差や欠落があるゲーム)のなかでも、その不完全度合いを下げることができます。
ITコンサルタントなど、お客様オフィスに常駐してはたらき、プロジェクトメンバーと頻繁に顔を合わせ、昼食を毎日ともにするような状況であれば、こうした情報は自然と分かっていくことです。しかしSaaSベンダーのCSMやAcMはお客様と接することのできる時間が限られているため、意図的に問いかけを行って、情報回収をしなければなりません。
情報は足でも稼げるし、問いかけの内容・質で稼ぐこともできます。弊社エンタープライズセールスのnoteもぜひ読んでいただきたいです。
そして、次はマネジメントレイヤーです。マネジメントレイヤーで在籍年数が短い場合、こちらもまた新天地での活躍を期していることでしょう。前職での経験から、現職の業務・システムにおける問題点がよく見えており、ほかの方とは違った視点の意見を持っているかもしれません。
しかし、改善プロジェクトの推進するにおいて、上長に稟議を通して追加の投資(購買)を得たり、他部署を巻き込みながら推進するという実行力の面で不安があることが往々にしてあります。
転職間もない場合、その会社や自身の上長の投資判断基準がよく分からなかったり、関連部署の有力者との信頼関係が構築できていなかったりします。
CSMとしてはまず目の前の方から信頼に足る仕事をしなければなりませんが、このようなことを想像しながら、ボトルネックになりそうなことがあれば、別のルートや手段を考える引き出しを持っておきたいです。
マネジメントレイヤーで在籍が長い場合は分かりやすいですね。お客様の会社の上下左右の人間模様というものを知っており、仕事・プロジェクトをうまく進めてくれるでしょう。
中途入社で在籍が長い場合よりも、特に新卒入社で在籍が長い場合に着目したく、新卒同期が様々な部署に散らばって活躍されていることも多いです。こうした状況はCSM・AcMとしては動きやすくなる要素です。惜しまず力をかけて成果創出して、その方の信頼を得ましょう。
ひとつ懸念点としては、細かな問題があることは認識しつつも、現状の運用におおむね満足しており、運用改善や業務改革といったことに腰を上げてくれないことも起こりえます。
その場合は、できるのであればその方の上長にアプローチし、上長からカウンターパートのマネジメントレイヤーに働きかけをお願いするのが上策です。
最初の問いかけとひとしきりのリアクションをしたあと、話を広げる問いかけとして
「今の部署に来る前はどちらの部署にいらしたんですか?」
という問いかけがあります。
アカウント課金の採用率が高いSaaSビジネスにおいて、アカウントの他部署展開は重要な施策です。その方が元々いた部署のマネージャー(上長)というのは紹介してもらえる可能性が高いので、知っておくべきですので、ぜひ問いかけてみてください。
②相手の持つ知識体系・判断基準に仮説を持つ
思考の要領はほとんど①でイメージできたかなと思います。
相手の方の在籍年数が長ければ、現行業務や既存システムの知識はあるでしょう。短ければその逆です。その会社・自部署における判断基準、稟議の承認基準に関する解像度もざいせきねん長いほど高いでしょうし、短ければ低いことが多いでしょう。
もし②の方向性で話を広げる問いかけとしては
「ご転職される前もおなじ職種だったんですか?」
という問いかけがあります。
ログラスの場合、代表取締役・CFO・経営企画部・経理財務・社長室などの専門性の高い部署がカウンターパートになります。中途採用の方の場合は、転職前もおなじ職種であることが多いですが、さらに前職での職種履歴・部門異動履歴というのも聞けるとよいです。
これは仮ですが、新卒入社から5年間は営業をずっとやっており、その後3年は営業企画、子会社の事業企画・社長室を歴任。元の会社に経営企画をするか転職するかを考え、他社の環境のほうがおもしろそうだから転職した、という職歴があったとします。
こうした職歴を持つ方の知識体系は、営業活動そのもの・(マーケ~)営業KPI予実管理・クライアントや事業ドメイン知識といったものになります。逆にコスト・購買側や、システム導入や運用に関する知識体系はそこまで揃っていなさそうだということが想像できます。
CSMというのはお客様に動いてもらい成果を出す職種ですので、いかに相手に動いてもらうかが重要です。
B2Bビジネス、法人の活動において、理解ができていないまま何か仕事や業務が動くというのはほとんどありません。(個人の場合、自分のお財布で衝動的にモノやサービスを買うというのはよくある)
ゆえに、相手の知識体系において補わなければならないことを、私たちCSMは説明し理解・納得いただかなくてはいけません。
相手が知識体系として持っていること、知っていることは確認程度に留め、あえて微に入り細に入り説明することはせず、省エネしましょう。
これが呼吸をするようにできるようになると、導入プロジェクトや活用の取り組みは加速しますし、「なんだか仕事がポンポン進むベンダー担当者だな」「アタリの担当者だな」と相手の方は思ってくれるようになります。
これはまさしく望むべき状況であり、①相手の社内における人間関係・位置づけと②相手の持つ知識体系・判断基準に仮説を持つことが前提となった成果です。
おわりに
「今の部署に勤められて何年くらいなんですか?」
「今の部署に来る前はどちらの部署にいらしたんですか?」
「ご転職される前もおなじ職種だったんですか?」
踏み込み過ぎた失礼な問いかけでもないし、明日から誰でも使える問いかけだと思います。
こうしたことをオンライン・オフライン問わず普段の打ち合わせから話しておくと、接待の飲み会などに行った際、お相手の方のキャリア観の話であったり、仕事に対する価値観の話にも踏み込みやすいです。この問いかけは布石でもあるのです。
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の3つをよろしくお願いいたします。
私と直接話したい人のために、Pittaさんでカジュアル面談を設定できるようにしましたので、私のこと・noteのことをおもしろがっていただけましたら、お気軽に打診ください。
それでは。
株式会社ログラス
比留間
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