ビールは本当に美味しいお酒なのか? 本当は美味しくないんじゃないか?
好感度が高い有名タレントがテレビや動画配信サービスなどで「あー!…うまいっ!」っていうだけの CM を見ると、もうちょっと他に何か言う事はないのかな~?と、苦笑しながらビール好きの私は思ってしまいます。
ですが、ビールを飲む人も飲まない人も、ビールは本当に美味しい飲み物なのか?とふと疑問に思ってしまうことはありませんか。美味しいと思って飲む人だとしても、ビールのその美味しさを他人に伝えるのって、けっこう難しいですよね。他の食べ物や飲み物なら、それほど悩まないのですが。
私もそう思っている一人でして、暇な時にビールの美味しさを伝える上手い表現はないものかな?と時折、考えています。最近になって、少し考えがまとまってきたので、ここにまとめてみます。
ビールは美味しくないけど、美味しくなってくるお酒
人はみな、ビールを初めて飲んだ時に「苦っ!」って感じます。これは当然の事で、ビールはホップに由来する独特の苦味成分が多く含まれるアルコール飲料です。ビールを飲んで苦いと思うのは、ごく当たり前の反応です。
だけど、ちょっとおかしいと思いませんか?
それならなぜ、苦いはずのビールを好んで選び、ゴクゴクと美味しそうに飲む人たちが居酒屋やビアバーにはたくさんいるのかと。
実はこの苦味、ビールを飲み続けているうちに、脳が苦味を感じなくなっていく性質を持っているのだそうです。ちょっと不思議なのですが、この苦味に慣れていくと、徐々に苦く感じなくなっていき、ある時を境に、ほとんど気にならなくなります。
そして、ビールが持つ他の味わいである、香りやキレやコク、喉を通り抜けていく爽快感などを強く感じるようになり、ビールを素直に美味しいと感じるようになります。つまり、ビールは最初は美味しくないけど、飲んでいるうちに美味しくなってくるお酒と言えます。最初からビールを美味しいなんて思う人はほぼいない、ということですね。
ビールを美味しそうに飲んで笑っている人たちの笑顔を見て「ホントかな?ホントかな?もうちょっと飲んでみるかな?」などと少しずつ飲むうちに、美味しく飲めるようになってしまうのがビールというわけです。
ビールの美味しさの違いは、コーヒーのようなもの
美味しく飲めるようになってくると、そのうちに気になってくるのが、ビールの銘柄や種類(ビアスタイル)による美味しさの違いです。でもこれも、けっこう分かりにくいですよね。
最近だと、クラフトビールは美味い!などとよく言われますが、風味が強くて普通のビールと違うのは明らかだけど、値段は高いし、これはこれで本当に美味しいビールと言えるのだろうか?と疑問を持つ方は多いでしょう。実は私もそうでした(笑)。
もっと美味しいビールを飲みたいけど、味の違いが曖昧だし、どんな銘柄を選べばよいのか分かりにくいから、結局、いつも同じような銘柄を選んでいる、という方も多いはず。
この分かりにくさを解決するために、ビールの美味しさの違いはコーヒーの銘柄の違いと似ている、と考えてみるのはいかがでしょうか。
コーヒーはみなさんも飲み慣れているので、銘柄や豆の違いを普段から楽しんでいると思うのですが、これをビールに置き換えてみると下記のようになるのでは、と思います。
ブレンドコーヒー:迷ったらコレ。ハズレ無しの定番でバランスが良い。ビールだったら一番搾りや黒ラベル。ピルスナー。
ブラジル:優しくて飲みやすい。ビールならバドワイザーや新ジャンル。
グアテマラ:華やかな甘味がある。ビールだと小麦ビールやベルジャンホワイト。
マンデリン:強い苦みと飲みごたえ。シメイなどのトラピストビール。
ブルーマウンテン:超高級品。自分へのご褒美。ビールならクラフトビールの高価格帯。
こんな風にコーヒーに例えて考えてみると、分かりにくかったビールの味が、ちょっとイメージつきやすくなりませんか。私はコーヒーの銘柄の違いを楽しむように、ビールの銘柄の違いを楽しんでよいのだと思って日々、いろんな銘柄を試して、いろんな驚きを体験しています。
ここまでビールの美味しさについて書いておきながら、最後に変な言い方になってしまいますが、ビールは別に美味しいお酒だと思わなくてもいいんじゃないでしょうか。
美味しさにこだわるのではなく、驚きや喜びがあるとか、リラックスできるとか気分転換になるとか。スポーツ観戦しながら周りのファンたちと凄いプレイの感動を分かち合えるとか。嫌なことがあった時にキレイサッパリできるとか。
そんな風に考えてビールを飲むと、きっともっと美味しく飲めるんだと思います。あなたに合う一杯は、近くのお店であなたを待っていますよ。