【大乗仏教】後期中観派の中核
シャーンタラクシタ、カマラシーラ、ラトナーカラシャーンティの説はいずれも『入楞伽経』の中にある詩頌を中核にしていると言われています。後期中観派の哲学と瞑想の階梯の理論はこの詩頌が根拠となっているわけですね。ただし、シャーンタラクシタ、カマラシーラによるこの詩頌の解釈は、ラトナーカラシャンティによる解釈と異なります。
シャーンタクシタ、カマラシーラによる解釈は次のようになり、()内は『入楞伽経』の文面では明らかではなく、シャーンタラクシタやカマラシーラの解釈において付加されるものです。
一方、ラトナーカラシャンティの理解によれば、次のようになります。
シャーンタクシタ、カマラシーラにおける瞑想の階梯は、
1段階目:外界の対象が存在する段階
2段階目:主・客ある心のみであることを覚る段階
3段階目:主・客の二つを離れた光り輝く心を対象とする段階
4段階目:主・客の無顕現である光り輝く心を越える段階
ラトナーカラにおける瞑想の階梯は、
1段階目:外界の対象が存在する段階
2段階目:形象ある心のみであることを覚る段階
3段階目:形象の無顕現である照明そのものを対象とする段階
4段階目:対象としての照明すら無顕現の段階
主観・客観=形象、光り輝く心=照明なので、両者で4段階目の解釈が異なることが分かります。