十二縁起の最初の「無明(迷妄・愚癡)」は「真の自己を知らない(なぜ自分が自分であるのかを知らない)=四諦に対する根本的無知」という潜在煩悩であり、真の自己を覆っています。十二縁起の二支目の「行(サンスカーラ)」は次の三種類に大別することができます。即ち、業(カルマ)・残存印象・潜在煩悩です。十二縁起とはその中でも特に「業(カルマ)」という種子が結実し、次の生涯への再生をもたらす過程を示しているのです。
今回は十二縁起の過程である「業(カルマ)」の結実ではなく、業と同じく真の自己にくっついている「潜在煩悩」の顕在化を示す縁起を見ていきたいと思います。
・欲尋:欲界→欲想→欲思→欲欲→欲悩→欲求→→悪行
・瞋恚尋:瞋恚界→瞋恚想→瞋恚思→瞋恚欲→瞋恚悩→瞋恚求→→悪行
・害尋:害界→害想→害思→害欲→害悩→害求→→悪行
ここでの欲界とは身体と楽の感覚にある随眠欲の煩悩(潜在煩悩)であり、楽受→欲界→の順になります。瞋恚界と害界は身体と苦の感覚にある随眠怒りの煩悩(潜在煩悩)であり、苦受→瞋恚界・害界→の順になります。楽受は善行功徳の報酬で、苦受は悪行罪障の報いなので、悪循環ですね。
「界→想→思→欲→悩→求」とは別の顕在化ルートも説かれます。
「界→想→思→触→受→欲→悩→求→得」というルートです。内的に生じた思(動機付け)に応じ、外界に対して抱く煩悩の顕在化ルートです。以下のように説かれることもあります。
人々が醜い争いに明け暮れる因縁を説いています。