【大乗仏教】古代インドの論理学
古代インドの論理学について、見ていきたいと思います。前回の記事と同じく「火と煙の関係」を例文として使用していきます。
○ニヤーヤ学派の五分作法の例
古代ギリシア由来の三段論法に外見上は似ていますが、西洋論理学が概念の外延間の関係に主眼を置くのに対し、インドの論理学は基体(例えば山)と属性(例えば火、煙)との関係に着目して分析を行う点に大きな違いがあると言えます。
喩例(喩)の同喩が大前提に該当します。異喩は同喩の対偶です。
理由(因)が小前提に該当し、主張(宗)が結論に該当します。
○大乗仏教 陳那(ディグナーガ)の三支作法
唯識派であり、かつ仏教論理学を発展させた陳那(ディグナーガ)は五分作法を整理して、以下の三支作法で足りるとしました。中期中観派で、仏護(ブッダパーリタ)の後に登場した清弁(バヴィヤ)は、このディグナーガの三支作法(自立論証)を用いて、龍樹の教説を論理的に説明しようと試みます。
喩例(喩)、すなわち大前提の「煙のあるところ」と「火がある」は遍充関係ともいわれます。
○陳那の「因の三相」
これは、理由(因)が下記の三つの条件を満たしていれば、正しい推論であることが保証されるというものです。
「因の三相」における二と三は大前提が真であるかの確認であり、一は小前提が真であるかの確認を意味しています。