【詩】逆回転
ほんのちょっと気に入らなかった
だから自分の運命の起伏をつまんでひねった
するとなんとか回っていた人生が
急に逆回転をはじめてしまった
触れない方がよかった切り替えスイッチ
逆回転する記憶、逆回転する感情
逆回転する踏ん切り、逆回転する封印のフタ
逆回転するマキタのインパクトドライバーで
月の兎が夜空に輝くビスを全部外してくれた
すると漆黒のベニヤ板が倒れかかってきて
僕はきれいに押しつぶされてしまった
スカイツリーもろとも、写真立てもろとも
のしかかる夜空布団の下で
いつかの睦言を逆再生してみたら
「サヨナラ」と聞こえて、痛いほど甘美だった