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【詩】スーパーミリオンヘアー
星空の中に頭を突っ込んだような
野辺山高原の夜
宇宙の点字を指でなぞると
「美しいだろ?え?」の文字
輝かしい夏の一幕
宝石のような一秒一秒
だけど人生はスーパーミリオンヘアー
黒雲を持って待ち構えている
日常目指し山を下りながら
道中僕は思ったものだ
カーブミラーの中が全世界だったなら
どんなに楽ちんか
サービスエリアの食堂の券売機
何事も選択肢があの程度ならいいのに
だけど現代はスーパーミリオンヘアー
余白ってものを与えてくれない
「そのセリフは何度も聞いた
美空ひばり特番みたいに飽き飽き!」
そんな時の僕の脳みそは
硬直していてレゴで組んだみたい
さあ存分に踏みつけて
君の足つぼを押してくれよ
言い訳はまるでスーパーミリオンヘアー
使い始めたらやめられない
彼女がいなくなっても
人生は進んでいくもの とか
ダンベルのプレートが一枚減っても
わりと気付かないでしょ? とか
眉一つ動かさない僕は
ナポレオン的だね とか
僕の嘘はスーパーミリオンヘアー
絶対にぜっっったいにばれない
曇りがちの空に
ぽっかりと開いた晴れ間
それは寝転がったゼウスの禿げ頭
天界に繋がる頭頂部
時々、誰にも何も告げずに
あそこから出て行ってしまいたいと思う
でもしがらみはスーパーミリオンヘアー
さっと出口を塞いでしまう
そうかと思えばある日曜日
モールで彼女にばったり出くわす
憑き物が落ちたように上機嫌で
メドゥーサの毛が抜け落ちたみたい
「このまえは……んー、いいやっ
モツ煮作って持っていくね」だってさ!
だから人生はスーパーミリオンヘアー
まるで不思議な魔法みたい!
ほんと、ミリオンな魔法みたい!