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【詩】芯

同じところをぐるぐると回っている
壁の引っかき傷でそれがわかる
ポテトチップスの油が乾ききらないうちに
その指で頭を抱えてしまった
さっきからレコードをスクラッチしてないか?
後戻りした気がしないでもない
あれ、今花びらが枝に戻らなかったか?
進展が巻き取られている感覚
この曲は五年前に聴き尽くしたはずなのに
既視感がそれを鼻歌にして戻って来た
五年前と同じ信号での同じ信号待ち
既視感が黄色から赤に変わる
生き方の芯が抜けた後の穴を芯にして
決して完成しない螺旋階段を作っている
俺は壁に引っかき傷を作るために
同じところをぐるぐると回っている



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