見出し画像

【詩】月と琥珀 其の四

通りの酒場は報復怖れ
窓に厚い板打ち付ける
旅の幌馬車は行く道を逸れ
アリゾナの乾く土を蹴る
最果ての地で罵声を浴びた
「新大陸一座」の十八番おはこ
楽屋の扉の隙間から見た
泣き伏す女優と化粧箱

 悪い 予兆の球 エンパイアステートビルが背負しょ
 丸い 穴の開いた アカゲラが穿つ金環食

株価の峠
値は乱高下
綿毛のような1セント
手招く風は
死の床を世話
血で濡れて錆びてゆく線路




いいなと思ったら応援しよう!