【詩】南国じじい
冬と折り合いがつかない者たちは
早くも春に飢えている
あばら骨が浮き出るほど
春に飢えている
痩せぎすで少しひんやりとした“11”月は
ラジカセのアンテナのような姿
感度は良好
北風の音を拾い始める
しかし、横丁の店の前に立ち
のれんを一枚くぐれば
そこは暖かい居酒屋で
いつもの仲間が待っている
それと同じで
廊下の壁の前に立ち
暦を一枚めくれば
そこにはもう冬至がいる
真っ白なポロシャツを着て
赤縁のサングラスをかけた
冬至という名の南国じじいが
そこにいる
そして冬至は言う
「君だけがつらい思いをしているような気がする。
まるで大縄跳びの端の方の人みたいに」
それからにっこりと笑って
真っ青なカクテルを注文してくれる
親指と小指でアロハのご挨拶
冬至が来年のカレンダーを
ぱらっとなでれば
夏の潮風が春と冬を通り越して
晩秋の君んちの廊下に
心地良い風で“11”も左右に倒れて
こたつの猫にアロハのご挨拶
まあまあ、とはいえ
とはいえ、しかし
これでは少し気が早い?
冬も来ぬのにさすがに早い?
上着を脱ぐにはまだまだ早い?
いやいやすぐそこ、Hawaiiiiiiiiii!!