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D2C/DNVBの階梯 vol.1


✔︎ Pinterestからの集客
✔︎ Amazonの定期おトク便の活用
✔︎ エージェンシーの活用と秘匿
✔︎ デジマとデータの利活用
✔︎ アトリビューション分析

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ピンタレストは3月に公開された新規株式公開S-1フォームのなかで、デジタルネイティブ・バーティカルブランド(DNVB)にもっと役立つプロダクトと測定ツールの数を増やすべく活動開始しており、また、ディスラプター(「破壊者」の意)ブランドと呼ばれる、新興ブランドに対応する専任のセールスチームを設けたと記している。
同社はまた、ユーザーが何かを発見したいという意識や意図(ディスカバリー・マインドセット)でピンタレストにたどり着いているケースが多いことを前提に、D2Cブランドに売り込みをかけようとしている。
アッカーマン氏は、ピンタレストの検索キーワード上位1000件の97%がノンブランド、つまり特定の会社名を含まない、という事実を挙げ、それこそがピンタレストがブランドを構築するにあたって優れたプラットフォームである理由であると述べている。ピンタレストを使えば、ユーザーがどのような寝具一式や調理器具セットを購入しようか、という意思決定をする前に、D2Cブランドがユーザーにリーチすることができるのだ。
ピンタレストに広告を出した経験について語ったD2Cブランドの創設者のなかには、同プラットフォームが多様な広告サービスをリリースしており、コンバージョン最適化に成功したことを受けて、ピンタレストにさらに予算を当て込んでいるという者もいる。一方では、ピンタレストはリードジェネレーションのような活動には有益だが、大規模に顧客を獲得してコンバージョンすることにも使えると確信できるまでは、ピンタレストにさらなるマーケティング予算を投入することに躊躇している者もいる。

Pinterestはなかなかに面白いサービスだと思うし、個人的にはイメージボードを作るのに最適だから良く使ってはいる。けれど、2018年5月時点で400万人のユーザー数というが、感覚的にInstagramほど日本では受け入れられてないと感じる。

もちろんPinterestに限らず、ブランドを構築するためにソーシャルメディアの活用は欠かせない。それぞれのソーシャルメディアの特性を考慮に入れて、マーケティング戦略を組み立てる必要がある。

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Amazonの定期おトク便は、デジタルブランドとの競争にさらされているブランドにとって限りなく魅力的だろう。既存のブランドにとって、デジタルネイティブなブランドと戦える簡単で面倒のないソリューションなのだ
ビックは競争に勝ち抜くため、Amazonのプラットフォームと、フルフィルメントや迅速な配達、プライムの加入者層といったメリットを活用している
Amazon Vineの先取りレビュープログラムの対象にもなっている。Vineは、Amazonをよく利用しているレビュアーのなかから選ばれた「Vineメンバー」に無料で商品を送る代わりに、その商品のレビューを書いてもらうというプログラム
Amazon Prime Day(プライムデー)や休暇シーズンに優先的に宣伝されるほか、Amazon自身による広告やマーケティングやVineレビューを利用できる。さらには商品開発でAmazonによる分析も受けられる
Amazonとブランドはウィンウィンの関係だ。Amazonは研究開発費や製造調達費を負担してくれるブランドを獲得、提携できるようになる。そしてブランドはAmazon独占販売として注目を集められるのだ

D2Cは新興企業発であることが多い。新興企業は、既存の流通網やプロモーション、ブランドなど大手一般企業には勝てない部分も多いが、その分そこでの「しがらみ」は存在しない。

だからこそ、一般企業ではとてもじゃないが実行できない「Amazon独占販売」などの飛び道具的な施策が打てる。顧客との接点を最優先とし、そこで顧客とのリレーションを計りながらブランドを積み重ねる。それができれば、いずれ独占販売を取りやめ、一般販売に切り替えることもできる。一般企業ではできないスタートダッシュになる。

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D2C(Direct to Consumer)ブランド勢には、きわめて明快なシナリオがある。彼らの多くに共通しているのは、自分たちがエージェンシーを使わず、いかにして成功したか、そしてマーケティング、クリエイティブ、広告パフォーマンスの関連業務をすべて、いかにインハウスで実行しているかをアピールする姿勢だ。
顧客の獲得戦略をインハウス化しているD2Cブランドの方が、一般に価値が高いと見なされる。だから、連中がすべて独力でやっていると言い張るのには、然るべき理由がある。要するに、印象操作だ。
知覚価値の話だ。VCが考えるのは、自分には投資に値するどんなモート(競争優位性)があるのか? 才能や技術はモートになりうる。人材、インハウスは間違いなくモートだ。たとえば、君がエージェンシーに頼り切っている(ことが周知の事実)として、そのエージェンシーに去られたらどうなる? 当然、きみの知覚価値は急落する。つまり、それを隠すのはリスク緩和と見なされる。その秘密の隠し味こそが、ブランド成功の決め手なんだから。
なかには――とくに健康産業に多いんだが――材料が同じなら、ボトルの形も同じ商品を売り出して、互いに「潰し合っている」ところもある。彼らがそもそも、なぜまったく同じ商品で業界に参入し、潰し合うことになったのか、有名なCMOたちに訊きたいね。「マーケティング」の結果がそれなんだから。

日本のスタートアップでも、あたかも自力でやっているように見せかけて、自分たちを大きく見せかけている会社はそれなりにいる。それで企業価値をある種偽装して、VCから大型調達して、ニュースバリューをあげ、キラキラしている感を演出する。

それに騙され、持て囃されて、メディアにも取り上げられやすくなるし、採用もできやすくなる。それはそれでPR戦略として欺瞞ではあるが、何をやっても成長するスタートアップらしいといえばらしい。

けれど、欺瞞で大きくなった企業は、その欺瞞に足を引っ張られ、いつか躓く日が来る。それを乗り越えられるかられないかは、欺瞞で自分さえも騙されてしまっていないかどうかだ。大抵の詐欺師は、自分のついた嘘を真実だと思い込んでしまうものだから。

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1. 顧客獲得と顧客維持のどちらを優先すべきか?
大量の顧客を獲得することが目的なら(定期購読サービスや高級ブランドのように、頻繁なリピート購入が期待できない場合)、顧客獲得に焦点を当てたモデルの方が重要になるでしょう。

一方、フライホイールモデルを採用する小売事業者は、新規顧客の自社サイトへの誘導は、ロイヤルティの高い顧客に依存しています。収益を最大化し、ビジネスモデルを機能させるためには、顧客維持とロイヤルティを優先させる必要があります。
従来の卸売モデルから消費者向けeコマースへの移行を進める小売事業者が最優先すべきことは、これまで商品を販売してくれていた小売店を通じてのみ交流してきた顧客との、直接的な関係を築くこと
2. 自社データとサードパーティのデータ、どちらに依存すべきか?
消費者のメールアドレスは小売事業者の販促活動や特定の商品に関するエンゲージメントを測るのに貴重なツール
メールは、人々が目にするものを支配しようとするアルゴリズムに対抗する手段となっています。フェイスブックとは違い、自身が受信許可したメールのみ、友人や家族、さまざまなコミュニティからのメールとともに、時系列で受け取るのです。
3. CMOがデジタルマーケティングを推進すべきか、それとも他の誰かがやるべきか?
高度に技術的でデータ主導型のマーケティング環境において、必然的にCMOの役割が拡大している
データは、エンゲージメントのためのより細分化された機会提供と、正確なオーディエンスのターゲティングを可能にし続けます。
マーケターに代わってインサイトに基づいて行動できる自律的なテクノロジーも増えており、マーケターは消費者のためにさらにパーソナライズされた体験を作り出すことに集中できる

D2Cスタートアップは比較的強く意識して、実践していること。新規顧客獲得と既存顧客リテンションの両輪による成長。そのためのデジタルマーケティングとデータ解析。その内製化。

これまでの小売業がやってきたマーケティングとは全くと言っていいほど異なるものだ。次世代のマーケティングを取り入れようとするならば、きちんとパラダイムシフトして、これまでと異なるものを受け入れねばならない。

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アトリビューションとはつまるところ、ある商品が売れたときにどの広告チャネルのおかげで売れたか把握すること
各社は、ウェブサイトにカスタマーをもっとも呼び込んでいるチャネルがどれかを把握しようと考えた。そうすればそのチャネルへの投資を増やせるとともに、貴重な広告費用を新規客の獲得につながらないチャネルに無駄遣いせずに済むというわけだ。

D2Cというよりデジタルマーケティングの基本。新規顧客獲得のために最重要なのが、アトリビューションと広告およびランディングのクリエイティブの最適化。

まだまだ世にあるツールは、アトリビューションを最適に分析できる仕組みになっていないものも多い。これからD2Cを立ち上げるなら、そこは意識的にチェックすることをオススメする。

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