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【台湾の面白い建物】桃園市立図書館總館
2023年の始めに、台湾で最も美しい図書館と紹介されていた図書館があります。桃園市立図書館總館です。
台湾鉄道の桃園駅から、桃園国際空港に向かって現在MRTが建設中です。そのちょうど中間あたりに、桃園の文化施設が集積しているエリアがあります。展示ホールと図書館。桃園の中でも高級な住宅街となっている様子です。
着いてみると、とても広い敷地にオープンスペースをゆったりととった、とてものびやかな配置となっていました。図書館の一階にはスターバックス、Wiredcafe、TSUTAYAが入っていて、まるでここは日本かと思うほどでした。こういう民間の店舗を誘致して公共施設の活性化を図るというのは、すでに定番の手法ですが、プランニングにここまで有機的にそれを組み込んでいる例はあまり見ません。
図書館のプランニングは中央に設けた巨大な吹抜けを中心に計画されています。吹抜を回遊するように階段とエスカレーターが配置され、巨大な螺旋階段の様に建物を上階に導いていきます。そしてその吹抜がセットバックすることで、各階にテラスの様な空間が作り出され、そこが休憩やブラウジングのコーナーとなっています。
この空間は、吹抜に面した「生命樹」と名付けられた光のタワーを中心に構成され、この空間の在り方がとても効果的です。このスペースは台湾で最も美しい図書館と呼ばれるに相応しいと感じました。
また、特記すべきは桃園にはたくさんの外国人労働者がいるからでしょう、マレーシア、ミャンマー、カンボジアなどの書籍コーナーが充実していたことです。これは、行政側の考え方も進んでいますね。彼らを桃園市民として迎え入れるという理念がないとこうはなりません。
個人的には、美しいだけではなく、台湾で最も先進的な素晴らしい図書館だと思います。
外観
内部空間の螺旋の構成を、外観でも表現しているのだと思われます。ガラスのファサードを外皮で覆うという意図もあるのでしょう。
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一階のテナント部分
1階のエントランス周辺に、スターバックス、Wiredcafe、TSUTAYAが一体となって入っています。公共施設にテナントとして入るこれらの店舗が、この様に一体となって計画されている例はあまりないと思います。レストラン、コンビニエンスストアなどがそれぞれの区画として入居する例がほとんどです。この建物は、1階部分をこの様に計画することで、公共施設としては稀有なテナントスペースを作り出しています。
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吹抜けゾーン
この図書館の中心となるスペースです。一階のエントランスから、エスカレーターと階段をセットにして、螺旋階段状に上行させます。上階に行くにつれて吹抜が大きくなり、テラス状のスペースが生み出されます。また、吹抜と書架ゾーンはシャッターによる防火区画とすることにより、とても大きな一つの空間と言った設えになっています。
吹抜の一角に「生命樹」と名付けられた光のタワーが設けられており、このアクセントが空間つくりにとても効いています。
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多国籍に対応した書架
書架ゾーンで特筆すべきは、台湾で働いている多くの東南アジアの人たちのための書籍が立派に計画されていたことです。ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマーなどの本がたくさん準備されていました。
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展示室
展示室では、この日は日本各地の文学館を紹介していました。台湾の愛好家が集めた写真資料を主体としていました。日本人でさえこの様にたくさんの文学館があることはあまり知らないのではないでしょうか。
僕の地元の館林にある田山花袋文学館なども、小さな施設なのに紹介されていて驚きました。
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日台共同のプロジェクト
図書館の一角に、この建物の模型と設計者の名前を記したプレートがありました。そこには台湾の建築師郭自強と日本の設計事務所梓設計の名前が記されていました。それで、この図書館の設計は日台の共同プロジェクトだということが分かりました。梓設計は日本でも多くの公共施設を設計している大手事務所です。彼らの設計のアイデアを台湾側の建築師が現地の法規制や施工技術に合わせてモディファイさせて実現したのが、この画期的な図書館だったのですね。とても素晴らしい日台共同案件だと思いました。
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