島 裕之 Hiroyuki Shima

台湾で建築コンサルタントの仕事をしている建築士です。仕事のかたわら、台北のジャズライブに頻繁に足を運んでいます。 ほかにも、街歩き、ハイキングと本屋巡りなどを楽しんでいます。

島 裕之 Hiroyuki Shima

台湾で建築コンサルタントの仕事をしている建築士です。仕事のかたわら、台北のジャズライブに頻繁に足を運んでいます。 ほかにも、街歩き、ハイキングと本屋巡りなどを楽しんでいます。

マガジン

  • 台湾の地質環境

    台湾は日本と異なって、元々海の底であった土地が、フィリピン海プレートの沈み込みにより圧縮され海面に現れたという土地です。その様な成り立ちの土地で3,000mクラスの山が100峰を超えているというのは、日本との比較でいうととんでもないことです。 その様な台湾の地質環境について学んだことを書いていきます。

  • 徒然の記

    Noteではテーマを4つ選んで文章を書いています。建築/音楽/歴史/中国語ですが、そのいずれにも当てはまらない記事もありますので、それをここにまとめておきます。 台湾で暮らしている中で遭遇した、あるいは感じた面白い出来事を紹介します。

  • 台湾のジャズライブ

    台湾で実際に足を運んで聞いた、特に特徴のある興味深いジャズライブの内容を紹介していきます。ミュージシャン、音楽の特徴、ライブ会場等について触れます。 FBで"台湾ジャズ指南"というグループを作っていて、こちらではタイムリーな台湾のジャズライブの情報などを発信しています。FBを利用している方はこちらもご覧ください。 https://www.facebook.com/groups/576457089563845

  • 台湾のジャズを聴くようになって

    2018年に台北に派遣されてから、この街ではジャズの音楽活動がとても盛んなことを発見しました。そして,多くのジャズミュージシャンの友達ができ、台湾ジャズを紹介するFBのグループを作ったことから、さらに深く広く台湾のジャズに関わっていくことになりました。その結果、僕自身の生活が、東京で暮らしていた時と全く異なったものになってしまいました。 そんな、僕が台湾のジャズと関わることになってからの出来事をここで紹介します。

  • 台湾建築雑感

    建築設計・工事監理・コンサルタント業務を通して感じた、台湾人の考え方を紹介していきます。建築に関する設計と施工業務というのは、国が違うとこんなにも異なるのかということを知っていただきたいと思います。 FBで台湾建築さんぽというグループを作って、台湾の建物やランドスケープも紹介しています。こちらもご覧ください。 https://www.facebook.com/groups/716594165826694

最近の記事

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アメリカが台湾に持ち込んだもの

日本人は、日本統治時代の日本人が台湾に残したものにスポットを当てて評価する傾向があります。その様な視点で様々な宝探しが行われるので、ある意味それは当然なことです。 ここでは、日本ではなくアメリカの影響が強く現れていると僕が考えている、台湾の事物を紹介してみます。これは、特に第二次世界大戦後、蒋介石の国民党政権が台湾に移ってきてから以降の話です。 中華民国は、第二次世界大戦の戦勝国であるために、自律的な政治を運営することができていたのだとずっと思っていたのですが、実のところ

    • 【台湾の地質環境】宜蘭、蘭陽平原

      西郷菊次郎のことを調べた時に、彼が宜蘭庁長官をやっていたこと、宜蘭で様々な開発事業を行ったことを知りました。そして、その時に写真で見た明治時代の宜蘭の様子に、とても驚きました。今の宜蘭と全く様子が違ったのです。 明治時代の宜蘭 日本の統治が始まる前の宜蘭は、どの様な場所だったのでしょう? 以前台湾の歴史に関する下記の様な文章を書きました。清朝の時代を通して、清朝は台湾全土を統治していたわけではない。東海岸と山岳地帯は、台湾の原住民が独立して生活している地域だったというこ

      • 【台湾のジャズライブ】美貌の青空

        台湾のジャズヴォーカリストAmanda Chenが坂本龍一の“美貌の青空"をファンクバージョンで歌っています。 日頃から、この曲をライブのプログラムに入れて様々な場所で歌っていますが、今回は最近トリオで組んでいる、ピアノ蔡定揚とトランペット鄭立偉とのトリオでの演奏です。 映像は新北市蘆洲にある新しいライブハウスClash New Taipei で撮影したものです。  ヴォーカル:Amanda Chen  ピアノ:蔡定揚  トランペット:鄭立偉

        • 清朝末期の民族大移動

          最近、中国から日本への移民が増えているという記事を読んで、家内にその話をしました。1人が足がかりを見つけると、一族郎党、みな芋蔓式に日本にやってくる。そんな移民が増えつつあるという記事でした。 日本も、大変な移民の時代になったねと彼女に言ったら、「中国は昔からそうだよ。自国から家族ぐるみで国外に逃げ出すことはよくある。清の時代の移民だってそうだ」と言われました。この言葉の裏には、台湾にやってきた国民党政権の人々のことも念頭にあったのかもしれません。 現代のエクソダス 先

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        記事

          日本のアニメ音楽とジャズ

          日本でジャズを演奏していても、アニメの音楽が使われることはあまりありません。たまにルパン三世の曲を聞くくらいです。それが、台湾ではかえって日本のアニメ音楽を聴くことがしょっちゅうあります。そんなアニメ音楽、再発見の出来事です。 ポーランドのサックス奏者 2019年のことだったと思います。いつも遊びに行くJazz Spot Swingに、ポーランドのサックス奏者が一人で来ていました。英語で話していたのですが、僕が日本人だと知ると、"Cowboy Bebop"の音楽は弾けるか

          日本のアニメ音楽とジャズ

          【台湾建築雑観】台湾のバブルは、何故崩壊しない?

          僕が台湾でのコンサルタント業務を始めた7年前ごろは、中国の不動産事業が好況でした。それで台湾の不動産が好況なのは中国の資金が流れ込んでいるからなのだろうと考えていましたが、現在中国の不動産バブルが崩壊して大変な状況になっている中、台湾の不動産は好況を持続しています。ですので、台湾の不動産投資を支えているのは別の資金なのであろうと考えています。 台湾における中国目当ての投資 台湾では、馬英九総統の時代に大規模に中国からの投資と観光客を呼び込んでいました。その時期の台湾では、

          【台湾建築雑観】台湾のバブルは、何故崩壊しない?

          台灣正名運動

          僕には、ある妄想があります。 それは、ある日"中華民国"が国の名前を変える。"台湾共和国"、英語にすると"Republic of Taiwan"という名称に国名を変更するのではないか、という妄想です。 中国の一つの中国政策 中華民国は、今は多くの諸外国と国交を持っていません。中華人民共和国の圧力の元、諸外国と国交を結べない状況です。そして、この中国の言い方をアメリカも日本も"尊重"しています。そのため、中国の"一つの中国"政策のもと、中華民国という中国は認められない。その

          【明清交代人物録】洪承疇(その二十九)

          ポロの陣に呼ばれた鄭芝龍は、彼に同行した部下と切り離され北京に送られます。それは、彼を清朝の高官として迎えるという形ではなく、囚人として護送するというものでした。 ポロの裏切り 鄭芝龍は、ポロの陣に出向く際「清朝の元で働きたいものはこの私に声をかけてくれ。いくらでも欲しい官職を与えてやるぞ。」と豪語していたそうです。清朝での三省総督の座を約束されたことに、とても油断していたのでしょう。 鄭芝龍は、ポロの陣に多数の部下を連れてやって来ました。そして、3日間に渡る宴会が催さ

          【明清交代人物録】洪承疇(その二十九)

          【台湾のジャズライブ】笛光月影 The Night of Debussy

          2024年8月、迪化街のバーAntique Bar 1900で、ドビュッシーをテーマにした、フルートトリオの演奏がありました。 このバーのオーナー"Alan"さんはヨーロッパでの生活が長く、このバーもクラシカルなヨーロッパ風の雰囲気と空間を作ることをコンセプトとしています。そんなことから、ドビュッシー生誕記念のライブのシリーズを企画し、その第一弾として、フルート奏者歐珈妏のトリオを呼んで、ジャズのアレンジによるドビュッシーの演奏会を開きました。 歐珈妏 歐珈妏は、フラン

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          《萬曆十五年》與國家治理的難題

          2024年8月に、聯經出版社の主催した【歷史細節看大局:《萬曆十五年》與國家治理的難題】という座談会に参加してきました。登壇したのは中華民国行政院長の職にあった毛治國氏と、ジャーナリストとして著名な陳鳳馨氏です。司会は、聯經出版社の涂豐恩氏が務めていました。 《萬曆十五年》 黃仁宇氏の著した《萬曆十五年》という本は、この歴史家の代表的な著作として有名です。日本語でも翻訳書が出ていたと思います。 僕は台湾留学時代にこの本を買って読んでおり、その後この黃仁宇氏の本を10冊ほど

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          【台湾の面白い建物】合歡山松雪樓

          "松雪樓"は、合歡山登山の際に台湾の山友が予約してくれた、通称台湾で最も高い場所にあるホテルです。標高3,150mという高さは、台湾では驚くほどの高さというわけではありませんが、日本で第二の高峰北岳が3,193mであることを考えると、とんでもなく高い場所にあります。 ここはホテルですので、車で直接アクセスできます。ですので合歡山ハイキングは、高度が高いにもかかわらず、とてもアクセスしやすいコースとして有名です。子供連れでやってきている台湾人もたくさんいました。 このホテル

          【台湾の面白い建物】合歡山松雪樓

          【台湾のジャズミュージシャン】ギタリスト(その一)

          台湾のジャズミュージシャンを紹介するシリーズ。2回目は、5名のギタリストを紹介します。 葉賀璞:Hope Yeh 2019年4月、雅痞書店に許郁瑛のピアノを聴きに行った時に、デュオでギターを弾いていたのが葉賀璞でした。その時は深く考えませんでしたが、許郁瑛とデュオを組むということは、彼女と同じ高いレベルにいるギタリストだということだと後で気がつきました。 この時のデュオは、ギター&ピアノというフォーマットの自由な組み合わせを堪能できる演奏でした。お互いに信頼し合っているデ

          【台湾のジャズミュージシャン】ギタリスト(その一)

          【明清交代人物録】洪承疇(その二十八)

          次に、洪承疇の元にポロがやってきて、福建の鄭芝龍を捕えるまでの経過を辿ってみましょう。 ドルゴンは征南軍に対し招撫策を基本とする様に指示をしています。そして、洪承疇はこの方針に則り、漢族の人間関係を駆使して各地の指導的人物を説得してゆきます。鄭芝龍などは、全くの同郷の人物であり、王朝への忠誠心も薄い。清朝への投降を最も説得しやすい相手だったでしょう。鄭芝龍は、清朝に対し徹頭徹尾、無抵抗でいます。 これだけお膳立てが整っているのに、鄭芝龍が1人捕らえられ北京に連行されるとい

          【明清交代人物録】洪承疇(その二十八)

          【台湾の面白い建築】1895乙未保台紀念公園

          これは、中壢から永安漁港にUbikeを走らせている際に偶然見つけた公園施設です。 スマホの地図を見て走っていると、"1895乙未保台公園"という名前が出てきて、一体これは何だと付近をUbike を走らせたところ、この公園を発見しました。 1895とあれば、これは台湾が清国から日本に割譲された年です。そして保台とあるので、これは"台湾民主国"が日本軍に対しての抵抗をしていた事績を紹介しているものであろうと考えたところ、その通りでした。 名前に公園とある通り、地上には道路の上

          【台湾の面白い建築】1895乙未保台紀念公園

          異色のカフェ

          今回は、デザインというよりも、アイデアのとてもユニークなカフェを紹介します。とてもコンセプチュアルなお店たちです。 【島咖啡】 島咖啡は、迪化街をさらに北上した昌吉街にある、驚きの古民家カフェです。古民家というか、廃屋に近い。(笑) この廃屋の様な状態の家を、外観はそのままに内装に最低限の処理を加えて、昔のこの様な住居の生活感を滲ませたインテリアにしています。床はコンクリートの土間、屋根も構造体が剥き出しで、修復された鉄板屋根もそのままです。 席数は全部でも20席位しか

          【台湾の面白い建物】湯圍溝溫泉公園

          これは、礁溪の街で偶然発見した公共温泉施設です。 2020年8月、礁溪の山の中にある"跑嗎古道"を4時間ほどかけて歩きました。礁溪に戻ってきた際、ここが沢山の温泉ホテルのある温泉街であるとあらためて気がつき、どんな施設があるのか歩き回ってみました。そうしたところ、街中の公園の一角に、この公衆浴場があるのを発見したんです。ちょうどハイキングの後で汗だくだったので、利用してみることにしました。 この様な温泉施設は、北投や烏來でいくつか利用したことがありますが、日本の温泉施設を

          【台湾の面白い建物】湯圍溝溫泉公園