学生時代のヨーロッパ旅行(その八、フランスからフィンランドへ)
僕のヨーロッパ旅行のテーマは、各地の建物を見ることでしたので、南フランスはモン・サン・ミシェルを見ただけでほとんど素通り。一旦パリまで行って、そこからフィンランドを目指しました。
モン・サン・ミシェル
シェルブールからほど近いところに、モン・サン・ミシェルがあります。フランスではまずこの場所を見学に行きました。この当時、南フランスは鉄道で移動するにはとても不便なところで、1日に4本ほどしか目的地に行く列車がありませんでした。
モン・サン・ミシェルは、印象としては、江ノ島の様な、陸地にとても近いところにある小さな島でした。陸地からは陸橋で繋がっていましたが、これは自然なものだったか人工のものだったかは分かりませんでした。元々牢獄としても使われていたと言うのだから、橋はなかったのかもしれません。
江ノ島と違うのは島全体が建物でいっぱいになっており、それを螺旋階段を登る様に登っていくことです。両側に低層の商店街が並び、そのまま登っていく様子は、中世そのままの街に迷い込んだ様で、とても趣がありました。
パリからストックホルムへ
ここから一旦パリに出て、そのままフィンランドに向かうことにしました。そして北から南下してヨーロッパ各地を観光しようと考えたのです。フィンランドには、近代建築の巨匠アルヴァー・アアルトの作品群があります。そして、Tiptreeで知り合ったSami君を訪ねるというのが目的でした。
パリから北ヨーロッパに向かうのには、ノルト・エクスプレスが出ています。これは、パリからストックホルムまで直通の長距離列車です。この様な列車に乗るのは、ユーレイルパスを使う醍醐味です。喜び勇んでこの列車に乗り込みました。
列車は昼頃出発、パリからはまっすぐ北に向かい、オランダに向かいます。日本とは違う、ほとんど高低差のない平原をひたすら走っているというイメージでした。
列車は4人のコンパートメントの席だったので、同席の人達と話もしました。
列車はドイツに入り、日が暮れました。寝台車だったので、ベッドを組み立て床につきました。僕は上段のベットに寝ました。翌朝にはデンマークから列車はスウェーデンに入っているはずです。
デンマークで立ち往生
しかし、翌朝起きてみると、列車は不思議なことになっていました。窓の外には鉄の壁があり、まるで真っ暗な建物の中に入っている様で、そこに停車しているのです。
しばらく辺りを見回したところ、漸く何が起こっているのか分かりました。列車は車両丸ごとフェリーの中に入っていたのです。外には嵐の音がビュービューしており、その嵐のために船が出航出来ずに港に止まっていたわけです。
その状態で、乗客は列車から降りて、船の中を歩き回ることができました。しかし、結局ほぼ半日ほどもフェリーの車庫の中に閉じ込められることになりました。
ヨーロッパでは、列車の運行にこんなことが起こるというのも驚きでした。列車を全部船に乗せるというのも思い及ばなかったですし、それが嵐になると大幅に遅れてしまう。これでは時間通りの運行などは無理です。かと言って運行取り止めというわけにもいかない。常に大幅な遅延がありうると考えて、タイムスケジュールを管理しなくてはいけません。大変なことだと思いました。
日本では、昔津軽海峡を同じ様に列車で渡るフェリーが運行していた様に記憶しています。そのフェリーは嵐に会うと運行できないので、同じ様なことになったのでしょうね。
(Wikipedia の説明には、このストックホルム行きのノルト・エクスプレスのことは書いてありませんが、確かこの様な名前の列車だったと記憶しています。)
ストックホルムからフェリーでヘルシンキへ
フェリーは、半日遅れでデンマークの港を離れスウェーデンに向かいました。船旅は3時間ほどだったでしょうか。スカンジナビア半島に入ってからも、列車は平らな大地をひたすら進みました。
ストックホルムに着いたのは、翌日早朝でした。そして、ここからは今度は旅客用の大型フェリーに乗り換えバルト海を真東に向かいます。
この時に乗ったフェリーは、アイルランドからフランスに入る時になったものと比べると、巨大な立派な船でした。喫水線から上の部分がとても高く、眺望も良い船です。
船の中では、本格的な食事もでき、バーではお酒も飲むことができました。豪華客船というのはこういう船を呼ぶのだろうなと、学生の身分では不相応と感じつつも船旅を楽しみました。
船の上では久しぶりに会った日本人と話をしました。この様に長い一人旅をしていると、同じ国の言葉を話す人間と会うのはとても懐かしいものですね。英語で話を始めますが、同じ国の人間と分かると日本語に切り替え話を続けます。
この日のバルト海はとても穏やかで、快適な船旅になりました。
フェリーはヘルシンキに入りました。ここではアルヴァー・アアルト巡礼の旅をすることになります。
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