マイクロプラスチック問題とワーム
ソフトルアー(ワーム)
僕は釣りをするけど、ソフトルアー(いわゆるワーム)は使いません。ただそれは、あくまで僕個人が考えた末の結果なので、誰かに強要すべきこととは考えていません。
ただあえてここで言いたいのは、ソフトルアー(ワーム)は釣りの道具の中でかなり環境負荷の高いモノであるということを知った上で、その選択をして欲しいということです。
バス釣り用から始まったワームの使用は、その後ソルトウォーターの釣りにも広く使用されるようになりました。しかしこのワームについても使用禁止の規制があります。 現在ワームの使用が禁止されている湖は神奈川県の芦ノ湖、山梨県の河口湖と西湖の3湖です。禁止の理由は、ニジマスがワームを飲み込むと胃の中に残り魚の身がワーム臭くなる(芦ノ湖)ということと、ワームがゴミとして湖底にたまっている(河口湖・西湖)という2点です。日本釣振興会としては生分解ワームへの全面切り替えをワームメーカーに働きかけていますが、すぐに実現することは難しそうです。
ワームの使用が広がっている状況の中、ワームを使用する釣り人には水中に落ちたワームは分解せず何十年も湖底海底に残ることを理解し、できるだけワームの使用を減らし、またワームが落ちないような釣り方、そしてワームは必ず持ち帰るなどの対応をお願いいたします。
釣り場に放置されたゴミと一緒で、ワームも水中に残れば釣り人が出したゴミとなります。 -日本釣振興会HPより
釣りと釣り人の不思議
釣りの世界は、釣りをしない人からみると奇妙で特殊な世界に見えていると思う。実際は、思った以上に不思議なことが多いと感じている。例えば、ミミズでブラックバスを釣っても、邪道感やそれは何か違うという感覚を持っている人はそれなりに多いようだ。確かに生き餌はそれ自体が動くし、匂いがあるのでどちらかと言えば受け身の釣りと言えなくもない。
それでも、釣れる人と釣れない人で差が出るわけだから、やっぱりなんらかの技術が必要なんだと思う。そういう意味では、ルアーも同じで、高い技術(正確なキャスティング、ポイントへのアプローチ、ルアーの操作等)が求められる。ルアーにもいくつか種類があり、ハードルアー(プラグやバルサ材で作られているルアー)やソフトルアーなどがある。ハードルアーで釣ることが美徳というか、ソフトルアーは最終手段みたいな空気もあり、本当に不思議だと感じる。
結局趣味の世界だから何をしても個人の自由だと思うけど、ソフトルアーには海や川に対しての無視できない側面があり、魚を釣りたいからワームを使うのであれば、生き餌を使って堂々と釣って欲しい。僕から見た、ワームというのはそういう中途半端な存在に見える。
マイクロプラスチック問題とは
ここ数年、マイクロプラスチックに対する意識が広がっている。マイクロプラスチック問題について僕は素人なのできちんとしたことを書けない。けれどとてもシンプルに言えば、自然界に放置されたプラスチックがどんどん分解され、とても小さな粒子になり、最終的には人体や自然界に悪影響を及ぼすということ。基本的に石油からつくられたプラスチックは完全に自然界に帰るまでにとてつもない時間を要する。そのため、その過程でウミガメがビニール袋をクラゲと間違えて食べてしまい死んでしまう例なんかも広義のマイクロプラスチック問題と言えると思う。別に小さな粒子だけの問題ではなく、自然界に流出したプラスチックが与える種々の影響と考えた方がすっきりする。
環境問題に関心のある僕としては,プラスチック削減の方向で社会が変わっているのはとてもうれしい。釣りをしていると釣り場にたくさんのごみが落ちている。明らかに釣り人が捨てていったものもあるし、バーベキューや上流のキャンプ場から流れてきたのかなと思うものもある。中には意図せず流されたものもあるだろう(風で飛んでしまう等)。
釣り人として僕のポリシーは,環境(釣り場)に負荷を可能な限り与えないということがある。具体的には,ワームを使わない,根掛かりしにくいルアーを使う(スプーンやフローティング系),釣り場への移動は自転車で,もちろんごみは捨てない。
ワームを使う人は多い
ワームを使う釣り人は多い。それはハードルアーよりはやっぱり釣れるから。明らかに見た目からしてスプーンやプラグよりエサっぽいし、自然に流していれば、魚にとってはミミズが流れてきたと思うだろう。ワームも適切なリグを組めば根掛かりを相当減らせるし、そもそもプラグに比べたら全然根掛かりしない。でも、ワームは魚が掛かったた時に飛んでなくなるケースがあるようだ。おそらく、魚が暴れると針からすっぽ抜けてしまうんだと思われる。そのなくなったワームの行き先について考えて欲しい。すっぽ抜けたワームは水中ですぐには分解されず、海洋まで流され、いずれマイクロプラスチックとなってしまう。その前に、野生生物が口にして、分解されず腸閉塞で死んでしまうかもしれない。
魚を釣りたい気持ちは良くわかる。釣れるのはうれしい。でも、その先のことについても少し思いを馳せて欲しい。いくつかの湖(芦ノ湖や河口湖)ではワームの使用が禁止になっている。やはり、環境への負荷や悪性度が高いからだろう。ワームでの10匹とプラグやスプーンでの1匹の価値は、僕の中では少し違う。負け惜しみと思われるかもしれないけど、プラグやスプーンでの1匹は偶然ではなく必然だと思っているし、ルアーの力(ポテンシャル)への依存度よりも、自分の腕で釣り上げたという喜びを感じることができる。
生き餌もルアーの一つと考えると(誘うわけなので)、ワームは生き餌にかなり近い性質をもっているような気がする。もちろん、ワームを使った釣りにも戦略があり、タフコンディションの中で1匹を釣り上げるためには必要かもしれない。その1匹にはそれ相応の価値があるのかもしれない。どうしても使用しなければならない場合は、水中に残らないような最大限の努力を払い、使用は最低限にして欲しいと願う。未来やちょっと先のことも想像して欲しい。
ワームは単価が安いので、1本なくなっても釣り人にとっての経済的な痛手は大きくない。問題は、本来含まれるべき外部コストが内部化していないということ。その1本が川や海に流されたときに、そのコストを回収するための費用(野生生物が誤って飲み込んだ場合の処置費用、マイクロプラスチックによって引き起こされる種々の疾患に対する医療費など)が内部化されていないので、一見安く見えてしまう。
僕はnoteでの釣行記を通じて、スプーンでの可能性についてもう少し発信していきたい。スプーンはシンプルで美しい。そして、僕のような初心者でも、魚種を選ばなければたとえ多摩川のようなハイプレッシャーフィールドでも2回の釣行で1回くらいは魚と出会える。
少し先の未来を想像できるか
釣り人の釣りに対する価値観は多種多様で、僕は何かを否定するつもりは全くない。でも、もし「ちょっと先のこと」を今まで考えたことがなく、この記事を読んで何か思い、気づき、行動に少しでも変化を起こしてもらえれば幸いです。
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