【イトログ_011】 More than just a coffee.
※この記事は2016.11.16に書かれたものです
コーヒーを飲むことは “体験” だと、僕は思っている。
美味しさはもちろんのこと、その一杯を通してさまざまな体験を与えることがコーヒーにはできる。
一杯のコーヒーが、時に一人の人生を変えてしまうこともあるほどで(僕もその一人)、つまりコーヒーを飲むということはそれほどの感動と体験を与えうる行為なのだ。
カリオモンズコーヒーで働く人の中には、僕と同じような体験を経てコーヒーの世界に飛び込んできた人もいる。
多くの場合、その体験から沸いた情熱は内向的で、『自分も美味しいコーヒーを淹れたい!』という自分自身を充足させるための興味であることがほとんどだ。
ただ、僕らは日々、お店のエプロンをつけてカウンターの中で働いている。
それは紛れもなくカウンターの先に立つお客様のためであって、自分自身の情熱を満たすためではない。
『美味しいコーヒーを淹れたい!』という情熱を持ってチームに加わったスタッフたちに与えられる最初の大きな試練がこれだ。
自分自身を満たすためではなく、海の向こうで働くコーヒー農家やカウンターの先に立つお客様を満たすことが僕たちの仕事であることを自覚しなければならない。
個人ではなく組織としてコーヒーに関わるようになって、その内向的な情熱を外向きに変えることが僕の立場からの最も大きな仕事のひとつだと、そう感じている。
美味しいコーヒーを目指す情熱の元で得た経験や技術を他の人のために使い、ひとりひとりに、そして社会に貢献していくこと。
それが達成されたときに得られる感情こそが、『美味しいコーヒーを淹れたい!』という情熱を満たすたったひとつの手段なのだ。
一杯のコーヒーにとどまらない体験が、飲む人を、そして淹れる人を満たす。
そうやって想いは巡り、行動となり、コーヒー生産者から消費者までを本当の意味で豊かにしていく。
全ては一杯のコーヒーを飲む”体験”からはじまるのだ。