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【吃音】二次的障害:社交不安障害、対人恐怖症

社交不安障害、対人恐怖症(SAD)

吃音の症状が進展(悪化)するとみられてくるもの(二次的障害)として、社交不安障害対人恐怖症があります。
これは、吃音のある方の約50%に合併するとされています。

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社交不安障害、対人恐怖症の症状は、「外的要因」がきっかけになり、神経質な性格、感情、症状に対する誤った考え方などの「内的要因」によって、ますます強くなってしまいます。

【 外的要因 】
恥ずかしくショックな出来事がきっかけとなることが多い
【 内的要因 】
不安や緊張などの感情、症状に対する「誤った考え方」

社交不安障害、対人恐怖症は、放っておいても治りにくいものであり、治っても4~5年の間で再発する可能性もあります。
治療は、薬物療法+認知行動療法が基本で、ひとりでは完治が難しいのが社交不安障害の本質でもあるため、セラピストなどと一緒に活動に参加するなども有効です。

薬物療法

効果によって、3種類の薬剤があります。
① 過去の経験によって学習された不安や恐怖を抑える薬
② 今そこにある不安を抑える薬
③ 緊張する体をコントロールし、交感神経の過剰反応を抑える薬

パーキンソン病に有効な薬剤が吃音にも効くという情報はありましたが、パーキンソン病の薬剤は副作用が重く、吃音の場合、効果よりも副作用で苦しんでしまう可能性が高いです。使用はオススメしません。
不安や恐怖を軽減する薬はありますが、吃音そのものに効く薬は基本的にはないとされています。
一方、言語療法は、基本的に副作用がなく、一定の効果もあり、一番効果的とされています。

認知行動療法

これは、直接法である吃音緩和法にも一部用いられる方法です。
吃音症状がみられるようになったこと、症状が悪化したこと、現在の状態など、本当の原因を探ることで、少しずつ「思い込み」と「現実」のずれを少なくすることが目的となります。
また、“隠し続けるか、オープンにするか”、カミングアウトをするかどうかで悩んだ経験は、多くの方がおありかと思います。
周囲の方たちに正しい知識や支援方法を理解してもらったり、できたら「ほめる」をくり返すことで、「どもってもいいんだ」と思えるようにしていくことも大切です。(そう思うことを強制するのではなく、自然にそう思えるように持っていくことが大切です)
さらに、今まで避けていたことを、できることからやっていけるように支援していくことかと思います。(行動療法)

心的トラウマ

心的トラウマの原因は、心的外傷となった「過去の出来事」から、恐怖の連想を現在に至るまで繰り返してきた結果だといえます。
人間は、過去の記憶を「2種類のパターン」で思い出します。

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過去の出来事を再体験するイメージでやってしまうと、脳は「現在進行形の出来事」だと錯覚し、「終わった出来事だ」と認識できなくなります。
主観的な思い出し方を繰り返すほど、心的トラウマは強化されてしまいます。
トラウマとなって定着してしまったのは「解釈」が原因であり、その人の解釈が作った「幻想」にすぎず、もともと存在しないものとされます。

解決策としては、
 私たちに起こった過去に「意味」はなく、出来事をどのように解釈し、どの感情を選ぶかだということを知ること
 客観的な思い出し方を習慣にし、ポジティブな感情だけを積極的に選んで生きられるようにすること
 アプローチ法:「暴露療法」「系統的脱感作法」「現実脱感作法」
 トラウマを思い出してしまい、どうしても辛い場合は、我慢することをやめて「いったん受け入れる」こと、現状のフラットな感情(自然な感情)を味わうことが有効


社交不安障害、対人恐怖症、心的トラウマは、その人自身でどうにかしようと思っても対処しきれず、ひとりでは完治が難しいものです。
お悩みの方は、専門家の力を借りて、社交不安障害・対人恐怖症・心的トラウマの完治を目指すのもひとつの選択肢かと思います。

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