住職(代表役員)・坊守(責任役員)就任の御挨拶
謹啓 慈光照護のもと、皆様におかれましては益々ご清祥にてお念仏ご相続のことと存じ上げます。平素は当山の活動に多大なご協力を賜り、有り難く厚く御礼申し上げます。
さて、本年三月三十日付けで、芳映山明善寺 第十三世住職並びに代表役員、坊守並びに責任役員に就任いたしました。四〇〇年にわたり寺門の護持発展に尽力された歴代住職・坊守、ならびに御門徒皆様方のご懇念を思いますに、誠に仏祖のご加護のおかげであると、感無量に存じます。
新型コロナウイルス感染症に伴い、これまでにない危機と混乱が、私たちの日常を大きく変えてしまいました。「諸行無常(あらゆるものはうつりかわる)」「諸法無我(あらゆるものは私のこの身も含めて絶対に変わらないという実体はない)」ということを目の当たりにする日々です。宗祖親鸞聖人のご生涯においても、疫病禍により多くの方が亡くなりました。門弟に宛てた最晩年の手紙には、
「なによりも、去年・今年、老少男女おほくのひとびとの、死にあひて候ふらんことこそ、あはれに候へ。ただし生死無常のことわり、くはしく如来の説きおかせおはしまして候ふうへは、おどろきおぼしめすべからず候ふ。まづ善信(親鸞)が身には、臨終の善悪をば申さず、信心決定のひとは、疑なければ正定聚に住することにて候ふなり。さればこそ愚痴無智の人も、をはりもめでたく候へ。(略)」『親鸞聖人御消息』
(現代語訳)
「何よりも、去年から今年にかけて、老若男女を問わず多くの人々が亡くなったことは、本当に悲しいことです。けれども、命あるものは必ず死ぬという無常の道理は、すでに釈尊が詳しくお説きになっているのですから、驚かれるようなことではありません。わたし自身(親鸞)としては、どのような臨終を迎えようともその善し悪しは問題になりません。信心が定まった人は、本願を疑う心がないので正定聚の位に定まっているのです。だからこそ愚かで智慧のないわたしたちであっても尊い臨終を迎えるのです。」
と、生と死は一体で、死に向き合うことで、生の有り難さをお説き下さっています。
このような不安な社会において、僧侶・寺院が、御門徒の皆様、地域社会と共にどうあるのかということが厳しく問われていることを実感しております。親鸞聖人が九〇年のご生涯を通してお示し下さったみ教えを拠りどころに、そのお心にかなう活動をして参る所存でございます。
浅学菲才ではございますが、皆様のお育てをいただきながら重責を全うする所存でございますので、より一層のご厚誼のほど宜しくお願い申し上げます。
合掌
二〇二〇年五月
浄土真宗本願寺派 芳映山 明善寺
第十三世住職(代表役員) 安井 廣由(釋廣由)
坊守(責任役員) 安井 彩子
明善寺御門徒の皆様
嘉麻組各寺院
御住職様
坊守様
寺族の皆様
御取引先・御関係の皆様