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【エッセイ】松浦寿輝と恩田陸

ネットで松浦寿輝と恩田陸の対談を読んで ずっと食わず嫌いだった 恩田陸に挑戦してみた 最上級のメタフィクション 物語の神様に愛された作家と松浦は恩田を評価していた そして、自分がそうではないとも言っていた その気持ちは僕にはわかる 僕は彼女と高校の時同級生だった ほとんど話したことはなかったけど 覚えている 大学も同じだった だから 近親憎悪というか 彼女の才能への嫉妬があったのだと思う 60歳でそれは無くなった 年齢のせいか 自分が詩人になったせいか わからない

恩田は松浦をフィクションのフレームを溶かそうとするところがあると評していた それは 松浦が詩人だあるが故に どうしても詩を描きたくなるのではないかと この度、松浦は『松浦寿輝全詩集』を出版し もう詩を書かないと宣言した なにかに 詩を書くことをルーティンにしたくないと 書いてあった 少し残念だが わかるような気もする なんとなく かわりに 恩田は物語を書き続け これから詩人になっていくのではないかと思った いつか恩田陸の書いた詩を読みたいと思った


 この本の 冒頭のベトナムの蝿のシーンには 明らかにポエジーがある 2人とも小説を書くのは苦行らしい ならなぜ書くのか 恩田は この小説でそれを呪いと表現した 対談で松浦は母親との関係を指摘した 失われたものを埋めるために 書くこと以外に解決策が見つからないと 
 対談の最後にAIに小説を書かせる話が出てきて 僕も実は chat GPTに物語の一部をご指南いただくことがあるので 2人が真面目に考えていることを面白いと思ったが 少なくとも詩は AIには書けないと信じている 一方で小説はプロットはつくれるけど ストーリーのドライブ感は個人の生命から生まれるものだから やはり難しいのではないかと思った とすれば 小説には詩的なものと そうでないものがあり 詩的なものはやはり 詩なのだろうと考えるに至った なぜ松浦寿輝は、詩をやめたのだろう 全集を読んでその答えを見つけたいと思った 


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