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SSRI(鬱と医学と詩)

セロトニンの欠乏が
鬱の原因というのは
比喩的な説明である
つまりそれは
詩のようなものである


セロトニン再取り込み

竹林から日が登る
小鳥がなく
風が吹く
僕の脳に
セロトニンがでる
7年前 脊髄を壊した後
毎朝の長時間の散歩によって
獲得した幸福物質
それより前に
僕はセロトニンが欠乏していた
僕のセロトニンは殺されていた

幸福とは
不安のないこと
不安は未来への準備
過剰な不安は
苦しいだけ

しかし 
歩いて幸福物質を出せば
いいというわけではない
過ぎては 体を壊す 心も壊れる
生きるためには
バランスが大事だ

セロトニンは
お昼前に
体に吸収されてしまう
僕の幸福感は
どこかに消えていく 
辛い午後が準備される
SSRIは
それを止めてくれた
まるでボディソルトが
体温をキープしてくれるように 

出て行かないでセロトニン
行かないで体温
いかないでママ

セロトニンは
再利用されるために
トランスポーターに取り込まれる

日本で発売されているSSRIはフルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、エスシタロプラムの4種類である。
それぞれ化学構造は大きく異なる。
化学構造以外にも、セロトニン再取り込み阻害作用の選択性、各種受容体親和性のプロフィール、薬物代謝、血液中の蛋白結合、副作用プロフィールなども異なっており、臨床上の使用法も異なるとされる。

もっと早く気づく人もいるだろう
彼は 乱暴な生き方の果て
詩を書いて
恋人のために
命を失うことを決意する
令和のウェルテルになるために

自らセロトニンを拒否する生き方は
示唆に富んでいる

【SSRI】
選択的セロトニン再取り込み阻害薬
Selective Serotonin Reuptake Inhibitors
シナプスにおけるセロトニンの再吸収を阻害することで病気としての不安の改善を目指す薬。日本国内で100万人以上が使用している。


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