「具体的」が勝つ。
私は常々、もう10年以上も、各種のライティング講座で「反応を取るためには、“具体的”が必須ですよ」と言い続けてきました。
今回、この「具体的」が見事に成果を挙げた事例が、この日本であったので言及します。
衆院選の、各党のキャッチフレーズです。
だいたいこれまでポスターを見ると、未来をどうとか、クリーンな○○とか、抽象的なものばかりでした。で、貴党に票を入れると、私の暮らしはどう変わるの?がさっぱり見えてこない。
この背景には、テーマを絞りすぎるとそれはもはやひとつの公約になり、達成できたか否かが明確になってしまうから、であると考えます。
逆に言えば、抽象に逃げていさえすれば、何か一つでも上手く行けば「ね、言ったとおりでしょ」と自慢でき、逆に、あれもこれもダメだったとしても、「そんな個別なこと約束してないもん」とかわすことができる。
そこがもう、大多数の有権者に見透かされていたのだと思います。
そして今回、この閉塞感に穴を開けた政党が現れた。
そう、国民民主党です。
同党が今回掲げたテーマは、「手取りを増やす」。そして「103万円の壁」。ポスターを見たとき、これは凄いな、とすぐ思いました。
一方で他の党はと言えば、
日本を守る。成長を力に。
政権交代こそ、最大の政治改革。
古い政治を打ち破れ。
希望の未来は、実現できる。
などなど、「で、それで私は、どうやって幸せになれるの?」・・・なんですね。ゴールまでの道筋がすぐ想起できない。自分との関係性を描けない。
つまり、相変わらずの抽象に終わっている。たしかに、いわゆるワンイシューは掲げる側にとってもリスクが大きい。成果が一目瞭然になってしまう。
でも、そこから逃げない姿勢が、いま支持=数字となって現れ、世の中を動かしていると言えるのではないでしょうか。
そしてこれらの現象は、多くの企業や商品、サービスが掲げるキャッチフレーズでも、まったく同様のことが起きるわけです。
後付けの解釈と言われるかもしれませんが、ついに「具体的」の威力が証明された。少なくとも私は、そう確信しています。
(あ、NHK党もあったよね、というツッコミは無しで(笑))
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