映画評 レビュー 「クライマッチョ」クリントイーストウッド監督 2021年公開 2024年8月10日
Amazonプライムデーが7月にあったので、それに合わせてプライム会員に1ヶ月だけなった。見たい監督の映画がないかと調べてみたところ、この作品があった。
今はすっかり落ちぶれた元ロデオの英雄である主人公マイクが、世話になった男の息子ラフォをメキシコからアメリカに連れ戻す話である。
詳しいあらすじ
私はこの映画を見て、クリント・イーストウッド演じるマイクのコミュニケーションの絶妙さに感動した。
具体的には、反抗期である13歳のラフォや、道中に立ち寄ったレストランの女主人との距離の取り方や返答の仕方である。
自分の価値をしっかりと持っていて、簡単には反抗期の子供や好感を持った初見の女になびかない。
これを譲ったら自分でなくなるという境界の明確な自覚があるのだと思う。
相手を説得する源泉が男らしさではなく、自分の信念を持っていることであるように見える。
つまり、何によって相手の信頼を勝ち得ますか、という問題である。
追記
◎ この映画は2020年11月から12月にかけて撮影された。COVID-19のパンデミック真っ最中でもあったが、2020年11月はアメリカ大統領選挙でトランプ氏が敗北した時でもある。トランプ大統領はメキシコとの国境に壁を築いたが、この映画はメキシコ人との交流を描いている。トランプ大統領が2期目も選ばれていたなら、この映画の公開時にも大統領はトランプ氏だったので、この映画の意味合いも違ったものになっていたと思う。
◎ 逃亡劇は必然的にロードムービーになる。場所が移動しても移動しなくても、登場人物の心理劇は進むが、ロードムービーたる所以は新たな人物を無理なく登場させやすいところにあると思う。
また、場所の変化に伴って人物の成長を表現しやすいのかもしれない。