お好み焼きに追いかけられる
春、至る所に生命が溢れている。
ちょっと前まで緑の草だらけだった原っぱには、花が咲き乱れている。
野草が一斉に開花する現象をスーパーブルームというらしい。
この辺でもそれに近いものを見ることが出来る。
普段は殺風景な土地にも、草花のパノラマを見に人がどっと押し寄せる。しょっちゅう見られるものではないし、とても綺麗で気持ちいいから、みんなのんびりくつろいでいる。鼻炎ぎみなので匂いがイマイチわからないのが残念。
たまごのたっぷり入ったお好み焼きの生地のような黄色い花の絨毯に、青のりのような草原が交わる。酸味と甘味がブレンドされた真っ黒なソースの香りが、記憶の底から漂ってきた。こんな気持ちいい青空の下で、お好み焼きのことを考えていたのは私だけだろう。生まれ育った環境。アメリカまで私を追いかけてくる。
ついでに濃厚で分厚い玉子焼きも食べたいと思った日曜日。人の数だけ楽しみ方がある。