熱中症とボーコー
暑い。田舎にいるので出張となると必然的に長距離出張となる。出張先は飛行機で行くほど遠くはないけど、車で行っても決して近くは無い。そんな立地にいるから必然的に車で4−5時間の移動となる。アメリカ人だとそれぐらいの距離はそんなに気にしないよという人もいる。私もだんだん慣れては来たが、人種に関わらず時間は平等にあるから、移動時間が長ければ長いほど疲れる。
ただ、アメリカの地方は道路が広いのと、カーブや交差点が少ないから運転は楽かも知れない。歩行者や原付バイク、自転車などに注意する機会も格段に少ない。平べったく乾いた大地をひたすらまっすぐ這うハイウェイ。陽炎で歪む視界のはるか先めざしてひたすら車を飛ばす。季節によっては気持ちいいのだが、外気40度に迫る炎天下ではエアコンをつけていてもトースターに入っているようだ。同僚のアメリカ人もよく"toasted"とぼやいている。調べると「焼かれる」という意味以外に「もうおしまい」というスラングもあるらしい。言い得て妙だ。
出張先にベトナム料理屋さんがあったので、行ってみた。暑い時は暑い国の料理だ。ベトナム料理はフォーや春巻きぐらいしか知らなかったが、メニューに「ビーフシチュー」とあった。迷わず注文した。日本で食べる様なビーフシチューとフォーつゆがミックスされたスープの中で、柔らかく煮込まれた野菜と牛肉がゴロゴロしている。一口食べるとその豊かな味わいに一瞬で食欲が戻った。スープも滋味深く、栄養たっぷり。濃いめの味が付け合わせのパンと最高にあう。付け合わせのパクチーもいい感じ。ここでパクチーを使わずしていつ使うと思うほどいい感じ。
こんな素晴らしい食べ物がベトナムにあったなんて。熱中症気味の体調が一気に回復した。あとで調べたらボーコーという料理らしい。フランスのビーフシチューと東南アジアのカレーが融合した料理らしく、その成り立ちにも非常に興味を持った。アメリカは街が違えばその街の文化的背景もガラッと変わる。行ったことのない場所に行くのも面白い。我が街にも一軒ベトナム料理屋さんがある。ほとんど行ったことがないが、この暑い夏に疲れたら、栄養たっぷりのスープを求めて行ってみたいと思う。