【疑問点】中医婦人科学の不明点一覧
以下は中医婦人科学における疑問点についてまとめたものです。
1. 排卵出血の中医学的解釈
排卵出血とは: 排卵出血は月経周期の中間頃に、少量の血液が見られる現象です。中医学では、これが腎の弱り、つまり「腎虚」に関連することがあると解釈します。腎は生殖機能をつかさどり、女性のホルモンバランスに深く関与しています。腎の力が弱まると、経血の正常な流れに影響し、排卵期に血が漏れ出ることがあるとされます。
正常かどうか: 排卵出血がないことが理想的で、出血がある場合は腎を補う治療を考えることがあります。ただし、軽度の排卵出血が一時的に起こることは必ずしも異常とは言えない場合もあります。
2. 月経の量
1日で140mlの経血量は多いか少ないか?: 一般的な経血量は、1回の月経全体で20〜80ml程度とされます。1日で140mlは非常に多いと考えられ、気虚(体のエネルギーが不足している状態)や血熱(血に熱がこもっている状態)が疑われます。血熱の場合、経血が鮮やかで量が多くなる傾向があります。一方、気虚では、体が十分に経血を制御できずに過剰に排出されることがあります。いずれの場合も、体質改善が必要です。
3. 男性と女性の「主」について
女性は「血」を主とする: 中医学では、女性の健康は「血」によって支えられていると考えます。月経、妊娠、出産など、すべての生理現象は血の充実と関わりがあります。血が不足したり巡りが悪くなると、さまざまな不調が現れます。
男性は「気」を主とする: 男性は「気」を主とし、体を支え、エネルギーを巡らせる役割を担います。気が不足すると疲労感、呼吸困難、消化不良などが起こりやすくなります。
4. 経血の色と体質の関係
脾虚の影響: 脾は中医学で消化機能をつかさどり、血を生成する役割があります。脾虚(脾の機能が弱まった状態)になると、血が十分に作られなくなり、経血の色が薄いピンク色になります。また、脾虚は血の保持力を低下させ、月経後に経血がダラダラと続くことがあります。
茶褐色の経血: 経血が茶色くなるのは、体外に出るまでに時間がかかり、酸化して色が変わるためです。これは腎虚や瘀血(血の巡りが滞っている状態)の可能性があります。腎虚の場合、ホルモンバランスが乱れ、生理前に少量の茶色い経血が出ることが多いです。
5. 月経量の年齢による変化
若いころは量が多く、40代に少なくなる: これは正常な生理的変化です。年齢を重ねると、ホルモンの分泌が減少し、経血量も自然に少なくなります。中医学では、腎の力が衰えることで生殖機能が弱まり、経血量が減少すると解釈します。
6. 初潮年齢の低下に関する中医学的考え
初潮年齢の低下: 現代の初潮年齢が低下しているのは、気候変動、食事の変化、住環境の改善などが影響していると考えられます。特に栄養状態が良くなると、成長・発育が早まり、初潮年齢が早くなることがあります。中医学では、これが「腎」の発育と関連しています。
7. 古典の出典に関する情報
「千金要方」婦人方: 「女性用に特別な処方がある」と記載されているのは、中国の古典「千金要方」にあります。この書物は、女性の健康や疾病に関する特別な処方について詳しく述べています。
8.排卵期は生理の前後には含まれないのですか?
排卵期は通常、生理周期の中間に位置し、生理(月経)の前後には含まれません。排卵期は、排卵日を中心に前後14日間程度の期間を指します。この期間にオリモノがトロっとした粘液状に増えるのは、ホルモン(特にエストロゲン)の影響を受けて自然に起こることです。
オリモノが全くない場合: 排卵期にオリモノが全くない場合は、中医学的には「腎虚」や「陰虚」を疑い、潤いを補うための漢方処方を検討することがあります。これは、腎のエネルギーや体内の津液(水分)が不足している状態を改善するためです。
9. 閉経したらオリモノはないのが正常でしょうか?
閉経後にオリモノが少なくなる、またはほとんどなくなるのは正常です。これは、エストロゲン(女性ホルモン)の減少によるもので、自然な体の変化です。エストロゲンは膣内の潤いを保つ役割をしているため、閉経後にはオリモノが減少します。
オリモノが全くない場合でも問題がないケース: 閉経に伴うオリモノの減少は通常問題ありませんが、もしも閉経までまだ時間があるのにオリモノが極端に少ない場合は、体内の「潤い」が不足している可能性があり、中医学では「陰虚」や「腎虚」として捉えます。こうした場合には、潤いを補う漢方薬を処方することがあります。
痒みなどの症状がある場合: 閉経後の膣の乾燥により、痒みや不快感が出てくることもあります。この場合も、中医学的には「陰虚」や「血虚」などを考慮し、潤いを補う漢方薬や体質改善を目指す処方で症状を和らげます。
これらのポイントをもとに、体の状態を理解し、適切な養生や治療を検討することが中医学の基本です。それぞれの症状や体質に応じたアプローチが必要です。