【元気とは何か?】中医基礎理論で解説!

皆さんは元気という言葉を聞いた事があると思います。元気があれば何でもできる!とか、身近で使いますよね。実はこの元気は中医学用語なんです。
元気(原気・真気)と宗気は、いずれも気の分類において非常に重要な役割を果たします。それぞれの性質と機能について、説明します。

1. 元気(原気・真気)

元気は、生きているすべての活動の根源であり、生命を支える最も基本的なエネルギーです。中医学において「元気」は「原気」や「真気」とも呼ばれ、以下の特徴を持ちます。

  • 生命活動の原動力: 元気は、生きている限り絶え間なく作用し、すべての生命活動を支えるエネルギーの源です。体を動かしたり、温めたり、さらにはホルモンや成長を調整する働きがあり、基本的な生命維持機能に深く関わります。

  • 腎に蓄えられた先天の精から生じる: 元気は腎に蓄えられた「先天の精」から化生し、その後は後天的な養生(食物や睡眠、呼吸など)によって絶えず補われます。これが元気が「先天的な」ものと「後天的な」ものに分けられる理由です。

  • 推動作用と温煦作用:

    • 推動作用は、体内で気を運び、動かす作用を指します。これにより、内臓や血液、体液などが体内を循環し、正常な機能を果たすことができます。元気が欠乏すると、体の運動機能が低下する可能性があります。

    • 温煦作用は、体温を維持する役割です。元気は体内の「冷え」を防ぎ、温かさを保つことで体の機能が正常に働くようにします。

  • ホルモンバランスや成長速度: 元気は、ホルモンや成長に関わる基本的なエネルギー源です。元気が不足すると、ホルモンバランスが崩れたり、成長が停滞したりします。特に、思春期や老化などの体の変化に関連しており、生命活動の根本的な部分に関与します。

  • 全身に分布し、臓腑や組織の働きを活性化: 元気は、全身に行き渡り、各臓腑(内臓)や組織、器官を活発にします。例えば、心臓や肺、腎臓などの器官は元気によって動き、体内の機能が調和を保ちます。

2. 宗気

宗気は、元気とはまた異なる形で体内で機能する気で、主に呼吸と心肺機能に深く関連しています。宗気の特徴は次の通りです。

  • 肺に吸い込まれた清気と脾胃で作られた水穀の精微が結合: 宗気は、肺に吸い込まれた「清気」(空気中の気)と、脾胃で消化された食物から生成された「水穀の精微」が結びついて作られます。この精微な気の集合体が宗気です。

  • 胸に積もった気: 宗気は胸中(胸部)に集まります。これにより、胸部の臓器(特に心肺)の機能をサポートします。心と肺は非常に密接な関係にあり、宗気はこの機能を維持するために重要です。

  • 推動作用と温煦作用: 宗気も元気と同様に推動作用と温煦作用に関わり、体内で気血を循環させ、呼吸や心拍のリズムを調整します。これにより、体温を維持し、内臓や器官の働きを活発に保つことができます。

  • 呼吸の司り: 宗気の最も重要な機能の一つが「呼吸」です。宗気は肺から吸い込まれる清気と結びつき、体内で気を送る役割を果たします。これにより呼吸が円滑に行われ、酸素と二酸化炭素の交換が正常に行われます。

  • 声の強弱と心拍の調節: 宗気は、声の強弱にも関係しています。声が弱い、または出にくいと感じる場合は、気虚が原因で宗気が不足している可能性があります。さらに、宗気は心拍(脈拍)のリズムにも関わっており、心臓の拍動を調整します。不整脈などが起こると、宗気の働きが弱まっている可能性があります。

  • 関係する臓腑: 宗気は肺、心、脾胃、腎などの臓腑と密接に関わります。肺の機能が低下すると、宗気の生成が不十分になり、呼吸機能や心拍に影響を与える可能性があります。

まとめ

  • 元気は、体全体の生命活動を支える根源的なエネルギーで、特にホルモンバランスや成長、体温調整、運動機能に関わる重要な役割を担っています。

  • 宗気は、呼吸機能や心肺機能に特化した気で、肺から取り入れた清気と脾胃で生成された精微な気が結びついて胸部に集まり、推動作用と温煦作用で心拍や声、呼吸を調整します。

両者は異なる役割を持ちながら、生命活動を維持するために協力し合い、体内で調和を保っています。

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