【メンタルにも】苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)はめまい立ち眩みと精神不安にも!

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)は、特に「水滞」と「冷え」、そして「精神の不安」を同時にケアできる漢方薬で、めまいや立ちくらみ、頭痛、精神不安、起立性調節障害に効果的です。この漢方は五苓散(ごれいさん)と似た成分を持ちながら、精神的なサポートも期待できる点が特徴です。以下に、各成分や効果、そして五苓散との違いについて、さらに詳しく説明します。

苓桂朮甘湯の構成成分とその作用

苓桂朮甘湯には、茯苓(ぶくりょう)、白朮(びゃくじゅつ)、桂皮(けいひ)、甘草(かんぞう)の4つの生薬が含まれており、それぞれが特定の作用を発揮します。

  1. 茯苓(ぶくりょう)

    • 利水と養心安神:茯苓は体内の余分な水分を排出する「利水」作用を持ち、水の偏在を整えます。また、精神を安定させる「養心安神」の効果があり、不安感や緊張感を抑え、穏やかな気分に導きます。特に心や脾が疲れている「心脾両虚(しんぴりょうきょ)」の状態にも用いられます。

  2. 白朮(びゃくじゅつ)

    • 健脾と利水:白朮には、胃腸を整える「健脾(けんぴ)」作用があり、胃腸が弱って水分代謝が悪くなることを防ぎます。胃腸が弱い方やむくみやすい方の水分代謝を助け、茯苓との組み合わせで利水作用がさらに強化されます。

  3. 桂皮(けいひ)

    • 温陽化気(おんようかき):桂皮は体を温め、血流を促進し、気の流れを整える作用があります。特に冷えによって体内の水分バランスが崩れているとき、体を温めることで代謝を高め、冷え性の改善にも役立ちます。

  4. 甘草(かんぞう)

    • 調和脾胃(ちょうわひい)と結合作用:甘草は「調和脾胃」として、胃腸を整えつつ、他の生薬の効果をまとめ上げる「縁の下の力持ち」として働きます。また、炎症を抑え、全体のバランスを取りつつ、精神の安定にも関与します。これにより苓桂朮甘湯の全体的な効果が高まり、精神不安のケアが強化されます。

苓桂朮甘湯の適応症状

苓桂朮甘湯は、特に以下のような症状を持つ方に効果的です:

  • めまい、立ちくらみ、頭痛:利水作用によって体内の水分の偏りが整えられ、内耳や脳内の水滞が改善されるため、めまいや立ちくらみ、頭痛に効果的です。

  • 精神不安、不安感や心配事:茯苓と甘草の養心安神の働きで、精神が安定し、不安感や心配事が軽減します。心脾が疲れている状態にも効果があり、精神の高ぶりや神経質な症状にも適しています。

  • 冷え、むくみ、疲れやすさ:冷えや水滞によるむくみ、だるさ、疲れやすさを改善します。体を温めて代謝を上げることで、水分が滞りにくくなるため、冷えやむくみに悩む方に特に効果的です。

  • 起立性調節障害:自律神経が乱れやすい状態を改善するため、朝に起きにくい、気分が落ち込みやすい方に有効です。水分代謝が悪く、精神的な不安や気分の変動を伴う場合、苓桂朮甘湯の使用が適しています。

五苓散との違い

五苓散も苓桂朮甘湯と同様に利水作用を持つ漢方薬で、体内の余分な水分を整え、水滞による症状に効きます。しかし、両者には重要な違いがあります:

  • 利水作用の強さ:純粋な利水作用は五苓散の方が強く、体の水分を迅速に排出したい場合や、むくみや頭痛の直接的な改善が必要なときに優れた効果を発揮します。

  • 精神安定の作用:苓桂朮甘湯には茯苓と甘草の組み合わせにより、養心安神の効果が強化されているため、精神の安定や気分の浮き沈みをケアしたい場合に適しています。一方、五苓散は純粋な利水効果に偏っているため、精神的な不安や心配事があるときには苓桂朮甘湯が優れています。

  • 冷え性の改善:苓桂朮甘湯は体を温める効果もあり、冷えによって生じる水滞症状にも対応します。五苓散は冷えの改善には適していません。

日常での使い方と注意点

  1. 使用のタイミング

    • めまいや立ちくらみ、不安が気になるときや冷えが原因で不調が出ているときに服用すると効果的です。特に寒い季節や冷え性の方には、体の温め効果が役立ちます。

  2. 尿量の調整

    • 利水作用によって排尿回数が増えることがあるため、日常の水分摂取を適量に保つことが推奨されます。利尿剤と異なり、自然な水分代謝を助ける漢方薬ですが、過度な水分摂取や長時間の我慢は腎臓や膀胱に負担をかけることがあるため、注意が必要です。尿の量や回数が少なすぎる、または多すぎる場合は医師に相談し、適切な検査(クレアチニン値、GFRなど)を受けることが推奨されます。

    • 適した排尿回数

      • 一般的に排尿回数は1日6回前後が目安とされます。回数だけでなく、尿量や排出の感覚も大切です。頻尿や排尿困難が続く場合は、医療機関での相談が推奨されます。

        ※「GFR(グロメルフィルターろ過率、Glomerular Filtration Rate)」は、腎臓がどれだけの血液をろ過できるかを測る指標です。具体的には、腎臓内の糸球体(グロメルフィルター)と呼ばれる部位が、1分間にどれだけの血液をろ過しているかを示しています。GFRは、腎臓の健康状態や機能を知るために重要な指標として使われています。

GFRの重要性と使い方

  • 腎臓機能の指標: GFRの値が高いと腎臓が正常に機能していることを示し、値が低いと腎臓の機能が低下している可能性があります。

  • 腎臓病の診断: GFR値を元に腎臓病の進行度が段階的に分類されます。慢性腎臓病(CKD)の診断基準にもなっています。

GFRの数値と腎臓の健康

  • 正常範囲: 健康な成人では通常、GFRは90以上です。

  • 低下: 60未満になると腎機能が低下していると判断され、15未満になると腎不全が疑われます。

GFRの測定方法

GFRは直接測定することが難しいため、一般的には血液検査のクレアチニン値や年齢、性別などから推測されます。

苓桂朮甘湯は、体内の水分バランスの調整とともに、冷えの改善や精神安定のために効果的な漢方薬です。五苓散よりも幅広い症状に対応できるため、特に精神面のサポートや冷えに悩む方にとって有力な選択肢となります。

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