【疑問 月経痛】中医婦人科学
今回は中医婦人科学の月経痛についての質問に関する解説をしていきます。
桑の葉茶と桑の実の違い
桑の葉と桑の実は、同じ植物から得られるものですが、効能が異なります。
桑の葉:風邪(ふうじゃ)の初期症状や熱を取り、頭痛の緩和に役立ちます。桑の葉には「疏散風熱(そさんふうねつ)」の効果があるため、特に風熱を伴う風邪に適しており、発熱時や風邪のひき始めに利用されます。
桑の実:腎を補う作用があり、陰血を養って便通を助けます。特に腎のエネルギー不足に有効で、精力の維持や老化予防に効果が期待できます。桑の葉が表面の症状に対応するのに対し、桑の実はより深層に働きかけ、体質改善を促します。
※桑こそ喫茶養生記を参照しましょう。
生理中に風邪を引くと、次の生理で再び風邪を引くリスク
生理中は身体が虚弱になり、邪気(病因の気)に感染しやすいと中医学では考えます。生理中に風邪を引いた状態が続くと、次の生理時期にも再び風邪を引きやすくなる可能性があります。これは、身体の気血が消耗し、免疫力が低下した状態で次の周期に突入するからです。予防策として、生理中に体を温め、冷気や湿気を避け、充分な休養を取ることが重要です。
生理中はシャワーの方が良いか
生理中は湯船に長く浸かることを避け、シャワーだけにするか、短時間で済ませることが望ましいです。湯船に浸かる場合でも、清潔であることが大前提で、温度や時間に配慮します。長く浸かると、体温調整が難しくなり、湿気が身体にこもりやすくなります。
ホルモン剤の使用が体質に与える影響
ピルやデボプロベア、ミレーナなどのホルモン剤は、中医学的に「瘀血」(血行不良)や「陰虚」(身体の潤い不足)の原因になることがあるとされています。長期間のホルモン剤の使用は、血液循環に影響し、また身体の陰(潤いと冷静の源)を損ないやすいと考えられます。一方で、出血量が多い方や血虚のある方には、経血量が減ることで身体が楽になるケースもあります。
肝腎不足に伴う耳鳴り
耳鳴りは、肝腎が不足することで生じる代表的な症状の一つであり、低音の耳鳴りが一般的ですが、高音で現れる場合もあります。肝と腎は助け合う関係にあり、肝が血を蓄え、腎が精(生命力の源)を蓄えます。肝腎が不足することで、血や精が不足し、耳鳴りやめまい、腰痛などの虚弱な症状が現れやすくなります。
桂枝茯苓丸と田七人参の併用
体質や症状により、桂枝茯苓丸と田七人参の併用が可能です。特に、子宮筋腫による出血量の増加や瘀血に悩む方に有効とされています。桂枝茯苓丸は血行を改善する作用があり、田七人参は止血や瘀血の除去に役立ちます。どちらも瘀血を取り除く働きがありますが、田七人参は個別に出血を抑えるため、出血が多い方に特に適しています。
田七人参の服用頻度
田七人参は血行を整え、出血を抑える効果があるため、慢性的な出血や瘀血が原因の症状に対しては継続的に使用することがあります。ただし、体質により服用の頻度や量を調整する必要があります。
ピルによる体重増加
一部の人にはピルの副作用として体重増加が見られることがあり、これは水分の滞りや食欲の増加が原因です。ピルの服用によって水分代謝が滞ることで、浮腫や体重増加につながる場合があります。適切な食事と運動が推奨されます。
若年性更年期障害の発症年齢
若年性更年期障害は、早ければ30代で発症することもあります。特に、卵巣機能の早期低下がある場合に発症しやすく、症状は通常の更年期障害に似ていますが、年齢が若い分、体力や生活の変化に適応することが難しくなるため、早めのケアが重要です。
生理中の血の塊と内膜
生理中に排出される血の塊は、瘀血であることが多く、子宮内膜の一部が剥がれたものと見なされます。瘀血は、血流が滞ることによって生じる不純物であり、通常の生理血と異なる色や質感を持っています。中医学では、血の塊やドロっとした質感の血液が多い場合、気血の滞りを改善することが治療の中心になります。
ピルの長期服用と閉経への影響
ピルを長期服用しても、卵子の数にはあまり影響を与えないとされており、閉経時期も通常の経過をたどります。中医学的には、ピルを長期間服用することで瘀血が生じやすくなり、陰虚になる傾向があります。さらに、西洋医学的にも、ピルの長期使用により血栓症リスクが上昇する可能性があるため、使用期間や体質に応じた慎重な管理が必要です。
※ピルの中医学的副作用を話している先生はほとんどいないと思います。
このように、中医学の観点からは、生理周期や体質に応じた個別のケアと日常的な養生が重要です。また、ホルモン剤の使用においても、漢方や養生法を併用してバランスを保つことが勧められます。