【永遠に分かりえない!】虚実の見極め方と双方の関係

虚実の見極めは、中医学において体質や病状を理解するために非常に重要な概念です。この見極めが正しくできることで、個々の状態に応じた適切な治療を選ぶことができます。ここでは、さらに詳しく虚証と実証の特徴、症状、治療法について解説します。

1. 虚証(きょしょう)

虚証は、体の中で必要なエネルギーや栄養(気血水)が不足している状態です。これにより、体の機能が低下し、弱々しくなります。虚証の人は免疫力が低く、風邪や病気にかかりやすい特徴があります。

1.1 虚証の種類と症状

虚証は、以下のようにいくつかのタイプに分けられます。それぞれ異なる症状があります。

  • 気虚(ききょ): 「気」が不足している状態です。

    • 症状: 疲れやすい、息切れ、声が小さい、だるさ、食欲不振

    • 特徴: 活力が不足しており、全体的に元気がない。日常的にエネルギーが足りず、無気力感があります。

  • 血虚(けっきょ): 「血」が不足している状態です。

    • 症状: 顔色が蒼白、めまい、不眠、爪がもろい、肌が乾燥している

    • 特徴: 栄養が足りない状態で、体に必要な「血」が不足しているため、酸素や栄養が全身に十分に巡らない。貧血のような症状を示します。

  • 陰虚(いんきょ): 「陰」(体液や潤い)が不足している状態です。

    • 症状: 体の乾燥、微熱、寝汗、手足のほてり、口の乾き

    • 特徴: 潤いが不足しているため、体が乾燥して熱を持ちやすく、寝汗や乾燥症状が現れます。虚熱(内側からくる熱)が生じることがあります。

  • 陽虚(ようきょ): 「陽」(体を温めるエネルギー)が不足している状態です。

    • 症状: 手足が冷える、下痢、むくみ、顔色が青白い

    • 特徴: 体が冷えやすく、寒さを強く感じる。内臓の機能が弱く、特に消化機能が低下していることが多いです。

1.2 虚証の原因

虚証は、長期間の病気、慢性的なストレス、不健康な生活習慣(睡眠不足、栄養不良など)が原因で起こります。体のエネルギーが消耗されてしまうことで、気血水が不足してしまうのです。

1.3 治療法

  • 補法(ほほう): 虚証の治療は、不足しているものを補うことです。

    • 気虚: 補気(エネルギーを補う)。例: 人参(にんじん)、黄耆(おうぎ)

    • 血虚: 補血(血を補う)。例: 当帰(とうき)、地黄(じおう)

    • 陰虚: 滋陰(体を潤す)。例: 麦門冬(ばくもんどう)、生地黄(しょうじおう)

    • 陽虚: 温補(体を温める)。例: 附子(ぶし)、桂枝(けいし)

虚証の人は、無理をせず、自分の体を労わることが大切です。生活習慣の改善も含めて、体力をつけることが目標です。
※実証の人からすると虚証の人は何もできない人のように思えますが、ただのイジメなので放っておいてください。

2. 実証(じっしょう)

実証は、体に余分なものが溜まっている状態です。外部からの病邪(風邪、湿気、寒さなど)が侵入したり、体内で病理的な産物(瘀血、痰、湿)が生まれることによって、体に過剰なエネルギーが発生します。

2.1 実証の特徴と症状

実証の人は、エネルギーが強く、体格がしっかりしていることが多いです。病気の際には、症状が激しく出る傾向があります。

  • 主な症状:

    • 炎症: 発熱、喉の腫れ、関節の痛み

    • 腫れや充血: 顔が赤く、目が充血する

    • 精神的な興奮: イライラしやすい、眠れない

    • 体の過剰反応: 激しい痛み、便秘、頻繁な怒り

  • 病態: 体内に余分な熱や病邪が溜まっており、それが体の不調を引き起こしています。

2.2 実証の原因

実証は、外部からの影響(気候の変化やストレス)や、暴飲暴食、不規則な生活習慣が原因で起こります。体が過剰に反応し、エネルギーが過剰になっている状態です。

2.3 治療法

  • 瀉法(しゃほう): 実証の治療は、余分なものを取り除くことです。

    • 清熱: 熱を冷ます。例: 黄連(おうれん)、黄芩(おうごん)

    • 解毒: 体の毒素を排出する。例: 連翹(れんぎょう)、蒲公英(ほこうえい)

    • 利湿: 体内の余分な湿気を除く。例: 茯苓(ぶくりょう)、薏苡仁(よくいにん)

実証の人は、暴飲暴食を控え、体のエネルギーをコントロールすることが重要です。

3. 虚証と実証の違いと見極め

  • 虚証は「不足している状態」で、治療には補うことが必要です。冷えや疲れ、弱々しい症状が特徴です。体力が弱いため、無理をすると病気が進行しやすいです。

  • 実証は「過剰な状態」で、治療には取り除くことが必要です。炎症や腫れ、充血などの症状が目立ちます。エネルギーがあるため、無理をしがちですが、突然病気が悪化することがあります。

4. 実際の体温と症状の関係

  • 体温と虚実: 高体温だからといって必ず実証というわけではなく、虚証の人でも陰虚による微熱が出ることがあります。逆に、実証の人が低体温の場合もあり得ます。ただし、一般的には実証の人は高体温で、虚証の人は低体温の傾向があります。
    ※虚証の人は、特に「血虚(けっきょ)」の状態があると、血が十分に体内を巡らず、体を温める力が弱くなるため、体温が低くなる傾向があります。

  • 体感温度: 虚証の人は、低めの体温でも熱を感じやすく、少しの体温上昇でも体が辛くなりがちです。一方、実証の人は代謝が良く、高体温でも熱を感じにくい場合があります。

5. 虚証と実証の注意点

  • 虚証の人の注意点: 無理をしないことが大切です。過労やストレスに弱く、過度な労働や不摂生は避けるべきです。生活習慣を見直し、体を温めることが必要です。
    ※虚証の人は過重労働はしないようにしましょう。下手すると過労死します。

  • 実証の人の注意点: 調子が良くても、生活習慣を軽視しないことが重要です。過食や不摂生は控え、体に溜まった余分なものを定期的に排出することを心がけます。
    ※若い頃に無理をし過ぎて50代60代とかでいきなりあの世に行く人は実証タイプが多いそうです。

実証の人は虚証の人に優しくしましょう。
虚証の人は実証の人の様にはなれません。憧れるのは辞めましょう。

虚実の見極めは、自分の体質を知り、それに合った生活や治療法を選ぶために不可欠です。正しい判断ができることで、漢方薬の効果を最大限に引き出し、健康を保つことが可能になります。

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