【整体観】中医学と西洋医学の違いが分かる!
中医学の基本理論として「整体観」が非常に重要です。この考え方は、人の体が外界と密接に結びつき、全体として調和を保つことが健康を維持するために不可欠であるという思想に基づいています。ここでは、整体観の詳細をさらに掘り下げて説明します。
整体観の基本概念
整体観とは、中医学の中心的な考え方の一つで、人体が複雑なシステムでありながら有機的に統一されていると捉えます。具体的には、以下の2つの統一性があります:
人体内部の統一性
人の体は様々な物質(気、血、津液など)と五臓六腑(体内の主要な器官系統)の機能が密接に関係しながら調和しています。
例えば、「気」は体内を巡るエネルギー、「血」は全身に栄養を与える要素、「津液」は体内の水分バランスを保ちます。これらが互いに影響し合いながら体全体を支えています。
肉体と精神は分けられない一つの統合体と考えられ、精神的なバランスが崩れると身体的な健康にも影響が及びます。
※この概念で西洋医学と中医学で全然違うということがお分かりいただけたと思います。西洋医学は局所的、中医学は全体を見るという形です。
人体と自然環境の統一性
人体は自然界の一部として存在し、自然の変化(季節、気候、環境など)に影響を受けます。
自然は必ずしも人間に優しくなく、過酷な気象条件(寒さ、暑さ、湿気、乾燥など)がありますが、これに適応するために体は様々な調整を行います。
中医学では、自然と調和する生き方や治療法が重視されます。例えば、季節に応じた食事や生活習慣を取り入れることが推奨されています。
整体観を構成する主要な要素
恒動観(こうどうかん)
説明: 恒動観は、体は常に変化し続けているという考え方です。人間の体は一日として同じ状態ではなく、成長したり老化したり、絶えず変化をしています。
具体例: 例えば、体調や精神状態はその日の天候や気分によっても変わります。また、自然界も絶えず移り変わっているため、人は常にその変化に順応しています。
意義: これにより、中医学では体の状態を固定的に見るのではなく、変化するものとして捉え、治療や養生を適切に調整することが重視されます。
※この概念が分かれば、人は一人一人違うということも認識できると思います。しかしながら学校や社会ではこの考えを持っている人はほぼ誰もいないのでややこしいことになります。
天人合一(てんじんごういつ)
説明: 「天」は自然界を指し、「人」は人体を指します。天人合一の思想は、人と自然が一体であり、自然界の変化が人体に直接影響を及ぼすという考えです。
応用: 季節や天候に応じた生活習慣を取り入れることが健康を保つ上で重要です。例えば、冬には体を温める食事を摂り、夏には涼を取る食事を摂るなど、自然と調和する形で健康を守ります。
※1年に4回ある土用というのは季節の変わり目です。この時期に養生しておくことが非常に大事です。
中庸(ちゅうよう)
説明: 中庸は「過不足なく、偏りがない、ちょうど良いバランス」を意味します。体のエネルギーや物質が多すぎたり少なすぎたりすると、健康に悪影響を及ぼします。
具体例: 栄養が過剰になりすぎると体内で「交通渋滞」が起きるように、エネルギーの流れが滞ることがあります。逆に不足しても体が弱り、病気の原因になります。
意義: 中医学では「中庸を保つこと」が理想とされ、食事、運動、休息などのバランスが取れた生活を心がけることが推奨されています。
整体観の実践的な考え方
人体は一つの有機的なシステム: 中医学では、体の一部が不調になると全体に影響が及ぶと考えます。例えば、肝臓が弱ると気血の流れが滞り、消化機能や精神状態にも影響が出る可能性があります。
自然との共存: 季節の変化に応じて生活習慣を調整することが中医学の養生法の基本です。寒い季節には体を冷やさないようにし、暑い季節には体を冷やす工夫をします。
まとめ
整体観は、中医学の哲学において重要な理論であり、人体と自然環境の関係を包括的に捉えることを重視しています。これにより、体の内部バランスを保ちながら、外的な環境変化に適応することが健康の鍵となります。この理論をもとに、中医学では治療法や予防法が考えられ、実践されているのです。
この考え方を理解することで、中医学の治療と養生法をより効果的に取り入れられるようになります。