【シャブ焼け黒色】望顔色と中医診断学!

黒い顔色は腎の状態や血の滞り、栄養不足などが原因と考えられ、中医学では証に合わせた漢方薬が用いられます。以下は、各タイプの黒色顔色の証ごとに適した漢方薬とその詳細な解説です。

1. やや黒い顔色(腎陽虚)

  • : 腎陽虚

  • 特徴: 顔色が薄黒く、チョコレートのような色合い。特に日焼けをしていないのに暗い色合いが見られる場合は、腎の陽気が不足している可能性が高いです。

  • 原因: 腎陽虚では体を温めるエネルギーが不足し、血液の循環が悪化して体が冷えやすくなり、顔に黒みが帯びます。特に更年期を過ぎた方に多く見られ、慢性的な冷えとエネルギー不足が特徴です。

  • おすすめの漢方薬:

    • 八味地黄丸(はちみじおうがん)
      八味地黄丸は腎の陽気を補い、冷えを改善するための代表的な処方です。血行を促進し、体全体のエネルギーを増強して、腎を温める効果があります。特に冷えやむくみ、疲労感が伴う腎陽虚に適しており、顔色の薄黒さを改善するのに役立ちます。

    • ⽜⾞腎気丸(ごしゃじんきがん)
      効果: 牛車腎気丸は腎陽を補い、体を温める処方です。体力が低下し、冷えが強くなる腎陽虚に適しており、特に腰や下肢の冷え、むくみ、頻尿などがある場合に効果が期待できます。腎の働きを補うことで、腎陽を強化し、体を温めるだけでなく、代謝を促進して全体のエネルギーを増加させます。

2. どす黒い顔色(瘀血、痛証)

  • : 瘀血(おけつ)、痛証

  • 特徴: 日焼けしていないのに顔が真っ黒に見える。特に高齢者や慢性的な痛みを抱える方に多く見られ、血行が滞っている場合に特徴的な黒みが出現します。

  • 原因: 瘀血は血液がスムーズに循環しない状態で、血がうっ血しているために顔色がどす黒くなります。また、痛証(痛み)が伴うことで、血流の停滞がさらに悪化することもあります。

  • おすすめの漢方薬:

    • 血府逐瘀湯(けっぷちくおとう)
      血府逐瘀湯は、瘀血を解消し、血の巡りを改善する漢方薬です。瘀血による痛みを和らげ、血流をスムーズにすることで、顔色のどす黒さを改善します。特に慢性的な痛みがあり、顔色が黒くどんよりしている場合に適しています。

    • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
      桂枝茯苓丸は、特に下腹部の冷えや瘀血に用いる処方で、女性の瘀血による顔色の暗さに効果的です。血行を促進し、瘀血による不調を改善しながら顔色の改善も図ります。

3. 乾燥して焦げたように黒い顔色(腎精不足)

  • : 腎精不足(じんせいふそく)

  • 特徴: 栄養が不足したような乾燥した焦げた黒さ。特に頬がこけており、皮膚がガサガサした印象を与える。日本ではあまり見られないが、栄養失調などで見られる場合が多い。

  • 原因: 腎精不足は、生命エネルギーの源である「精」が不足している状態で、体の成長や発育が十分でなくなります。腎の精が欠乏することで、顔色が黒く乾燥し、肌も痩せて乾いた状態になります。

  • おすすめの漢方薬:

    • 参茸補血丸(さんじょうほけつがん)
      参茸補血丸は、腎精を補い、エネルギー不足を改善する効果がある処方です。腎の働きを高めながら、生命エネルギーを補充し、顔色の改善に加えて、体全体の活力を高める効果が期待できます。栄養不足で頬がこけ、顔色が黒い場合に特に有効です。

覚醒剤使用による「シャブ焼け」

覚醒剤の使用によって顔が黒ずむ「シャブ焼け」と呼ばれる症状は、中医学における望顔色の「黒」に該当する可能性があります。某元プロ野球選手を思い出しました。

覚醒剤の使用は、身体に大きな負担を与え、特に腎臓などの内臓にダメージを与えると考えられます。腎は中医学で生命力の源とされており、覚醒剤の乱用によって腎のエネルギーが極端に消耗することで、顔色が黒ずむことが説明できるでしょう。また、覚醒剤は血液循環にも影響を及ぼし、老廃物の排出が滞ったり、全身の代謝が乱れることで顔に黒ずみが現れるとも考えられます。

「シャブ焼け」として現れる顔の黒ずみは、望顔色における「黒」に該当し、腎のエネルギー不足や体全体のエネルギー消耗を示していると考えられます。中医学的には、これは体内の深刻な不調を表しており、長期間の治療や回復が必要な状態です。

覚醒剤は腎臓に対して深刻な影響を及ぼすことがあり、西洋医学と中医学の両方の観点で考えると、それぞれ異なるメカニズムで腎機能に影響が出ることが分かります。

西洋医学的な観点

覚醒剤は、腎臓への直接的な負担や間接的な障害を引き起こします。

  1. 腎臓への直接的な毒性
    覚醒剤は腎臓にとって有害な物質であり、腎臓の組織に炎症や障害を引き起こす可能性があります。覚醒剤使用による急性腎障害(AKI)が発生する場合があり、腎組織の損傷を招き、最悪の場合には不可逆的な腎不全につながることもあります。

  2. 血圧の上昇と腎血管の負担
    覚醒剤の使用によって交感神経が刺激され、血圧が上昇します。高血圧の状態が続くと腎血管に大きな負担がかかり、長期的には腎臓の機能低下につながります。また、高血圧に伴う血流の異常により腎臓に十分な酸素や栄養が届かず、組織のダメージが進行します。

  3. 横紋筋融解症による腎臓障害
    覚醒剤の過剰摂取は横紋筋融解症(筋細胞の崩壊)を引き起こす可能性があります。この際に発生する筋肉の老廃物(ミオグロビンなど)が腎臓に負担をかけ、急性腎不全を引き起こすことがあります。これはミオグロビン尿症としても知られ、腎臓にとって極めて有害です。

中医学的な観点

中医学では、覚醒剤の影響を腎精(じんせい)や腎気(じんき)への損傷として捉えます。覚醒剤は腎を酷使し、陰陽のバランスを崩すと考えられます。

  1. 腎精の消耗
    覚醒剤は体内の「精」を消耗させるとされています。腎精は成長、発育、そして体の全体的な活力を司るもので、覚醒剤の刺激作用は腎精を過剰に消耗させます。その結果、老化が早まったり、免疫力の低下や不眠、倦怠感といった症状が出やすくなると考えられます。

  2. 腎陰虚と腎陽虚の進行
    覚醒剤による極端な刺激は、腎陰と腎陽のバランスを崩しやすいです。初期には腎陰虚の症状が現れ、のぼせやイライラ、乾燥などの熱の症状が出ますが、次第に腎陽も消耗して冷えや疲れなどの腎陽虚の症状が加わります。これが慢性的な冷え、疲労感、体力の低下として現れるのが特徴です。

  3. 気血の消耗と瘀血の形成
    長期の覚醒剤使用は気血の循環を阻害し、瘀血(うっけつ)を引き起こしやすくなります。覚醒剤は血液の流れを速めたり、心拍数を上げたりするため、血行不良や瘀血が腎臓を中心に溜まっていき、腎の機能に障害が出ると考えられます。

総合的な対策

覚醒剤の影響を受けた腎機能の回復には、以下の方法が役立ちます。

  • 西洋医学的対策: 水分補給や血圧管理、腎機能の定期的なチェックが必須です。特に横紋筋融解症のリスクがあるため、覚醒剤使用後は即座に医療機関で検査を受けることが重要です。

  • 中医学的対策: 腎精や腎気を補う処方が役立ちます。例えば、腎精を補う六味地黄丸や腎陽を補う八味地黄丸、気血の巡りを改善する血府逐瘀湯などが有効です。また、食養生や生活習慣の改善も重要とされています。

まとめ


黒い顔色は体内での血行不良、エネルギー不足、腎精の欠乏が原因となっている場合が多いため、それぞれの証に応じた漢方薬を使用することで、根本的な改善を図ります。顔色の変化は体内のバランスの乱れを示すサインであり、気血を巡らせ、腎の働きを高めることが健康回復の重要なポイントとなります。

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