私たちのくらしと化学①

この記事はNHK化学基礎の講座内容を要約したものです。

薬を学ぶにあたり科学の初歩の初歩から復習した方が良いと思ったためです。

1. 化学の基本と「セントラルサイエンス」

化学は、自然界にある物質を研究する学問であり、「物質」が何からできているか、どんな性質を持ち、どのように変化するのかを探究します。この視点を持って生活を観察することで、化学的な知識が日常生活にも活かせます。化学は「セントラルサイエンス」とも呼ばれ、物理学や生物学、地学などと密接に関係し、私たちの生活や未来を豊かにするために重要な役割を果たしています。

2. 金属とプラスチックの利用

人類は古代から金属を使用してきましたが、特に鉄(Fe)はもっとも重要な金属のひとつです。日本では砂鉄と木炭を使い、たたら製鉄という技術で鉄を製造していました。現在の製鉄では、鉄鉱石を溶鉱炉(高炉)で加熱し、コークスを用いて鉄を取り出し、不純物を含む「銑鉄」として取り出します。その後、転炉で酸素を吹き込み、炭素を減らして「鋼」(スチール)にすることで、さらに硬くて耐久性のある素材に仕上げます。

プラスチックは、軽量で加工が容易なため、日用品や包装材として広く利用されますが、石油由来のため、資源枯渇や環境負荷といった問題が浮上しています。近年では、生分解性プラスチックなどの環境に配慮した新素材が開発されつつあります。

3. 化学の歴史と人類の進展

化学は、金属の加工技術と共に発展してきました。特に日本では、江戸時代末期に安政4年(1857年)に大島高任が岩手県釜石で最初の高炉を建造し、銑鉄を取り出したことが「鉄の記念日」として歴史的な出来事となっています。こうした製鉄の進展は、他の分野にも影響を与え、明治以降の産業革命に貢献しました。

4. 化学の夢と未来

日本化学会は「30年後の化学の夢ロードマップ」を発表しており、次の5つの目標を掲げています。

  • 豊かな社会を支える新材料:新しい素材の開発によって、より快適で便利な社会を実現します。

  • 長期持続可能な地球環境:環境に優しい技術や素材の開発を通じて、地球環境を保護します。

  • 安心安全・健康長寿:医療や食の分野で役立つ技術を開発し、健康長寿を支えます。

  • 持続的・安定的エネルギー供給:再生可能エネルギーやエネルギー効率の向上による持続的な供給を目指します。

  • 知的好奇心に支えられた新分野開拓:分子マシンやナノカーボンの開発など、新しい科学技術への挑戦です。

具体例として「分子マシン」と「ナノカーボン」の開発が挙げられます。分子マシンには、分子スイッチやナノカー、ナノモーターなどがあり、これらは医療や産業への応用が期待されています。ナノカーボンは炭素を利用した素材で、電子回路や半導体材料として、さらに医療やバイオ分野でも将来的な応用が期待されています。

5. 学生への探求心の呼びかけ

最後に、資料では、これらの化学の夢や進展を学ぶだけでなく、自分で探求する姿勢を持つことを奨励しています。特に「分子マシン」や「ナノカーボン」以外の化学研究テーマについて調べることを勧め、現代の技術や夢がどの程度実現に近づいているかを考えるよう促しています。

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