【毒を食べると?】腎や肺との関係と中医学
毒物や公害による健康への影響は非常に複雑で、腎虚だけでなく、肺やその他の臓器にも多大な影響を与えることが考えられます。以下、具体的な例を挙げて、より詳細に説明します。
1. 公害や毒物が腎虚を引き起こすメカニズム
公害、化学物質、重金属、環境汚染物質は、体内で腎やその他の臓器にさまざまな影響を及ぼします。中医学では、腎は体内の生命力(腎精)を保つ役割を担い、体の成長、発育、免疫、老化などに関与しています。毒物が体内に蓄積することで、腎臓の機能が低下し、腎虚を引き起こす可能性があります。
公害の影響としては、特に重金属(鉛、カドミウム、水銀など)、化学薬品(農薬、工業用化学物質)、**微小粒子状物質(PM2.5)**などが腎臓に対する負担を増大させ、最終的に腎虚を進行させることがあります。
例:水銀中毒と腎虚
水銀は、腎臓に深刻なダメージを与えることが知られています。水銀が腎臓に蓄積すると、腎機能が低下し、腎虚(特に腎陰虚や腎陽虚)が進行する可能性があります。中医学では、水銀や重金属のような毒物が腎精を消耗させ、腎のエネルギーが枯渇すると考えられています。
※中医のテキストは水銀の副作用として不能(男性のアレが)になると書かれています。
2. 公害が肺に与える影響
中医学では、肺は「気」の源泉として、外界からの邪気を防ぎ、体内の気の流れを管理する重要な臓器です。公害、特に大気汚染や有害ガス、PM2.5、化学物質、さらには喫煙などが肺に入り込むと、肺がその機能を果たせなくなり、様々な問題を引き起こします。
例:大気汚染と肺への影響
PM2.5(微小粒子状物質)や二酸化窒素(NO2)などの大気汚染物質は、肺に吸入されると肺の組織を傷つけ、免疫機能を低下させる可能性があります。中医学では、肺が外邪(外部から侵入する有害物質)によって侵されると、「肺気虚」や「肺陰虚」などが引き起こされ、呼吸器疾患やアレルギー、喘息などの症状が現れると考えられています。
肺気虚:これは肺の「気」が不足している状態で、外部からの邪気に対して防御力が低下し、風邪やインフルエンザ、アレルギー性疾患を引き起こしやすくなります。大気汚染や有害物質の影響で肺気虚が進行すると、慢性的な咳、息切れ、痰、呼吸困難などの症状が現れることがあります。
肺陰虚:公害や毒物による肺の乾燥や損傷により、「肺陰虚」が進行することがあります。これは肺の潤いが不足している状態で、乾いた咳、喉の乾燥感、発熱、夜間の発汗などが見られます。
例:化学物質や有害ガスと肺への影響
**化学物質(例えば、アスベスト、農薬、工業用化学薬品など)や有害ガス(例えば、二酸化硫黄、二酸化炭素、窒素酸化物など)**が肺に入ると、直接的に肺の組織を破壊し、**肺疾患(慢性閉塞性肺疾患、肺癌など)**を引き起こす可能性があります。中医学では、肺がこれらの邪気に侵されると、肺の機能が低下し、全身の気血の流れが滞ることになります。
3. 腎虚と肺との相互関係
中医学では、腎と肺は相互に関係し合っているとされています。腎は「水の源」として体内の水分バランスを管理し、肺はその水分を分布させる役割を担います。腎虚が進行すると、肺に必要な水分や気が供給されなくなり、肺機能の低下を引き起こすことがあります。これが肺腎不交(肺と腎が相互に作用しない状態)と呼ばれるものです。
例:腎虚と肺疾患
腎陰虚が進行すると、腎からの水分供給が不足し、肺の潤いが欠乏します。これにより乾いた咳や喉の渇き、息切れなどの症状が現れ、慢性呼吸器疾患のリスクが高まります。
腎陽虚の場合、寒冷感や元気の低下、浮腫(むくみ)などが現れる一方で、肺の気の流れが滞り、呼吸困難や咳が悪化することがあります。
4. 衛気を高めることでの防御
公害や毒物の影響を防ぐためには、衛気(外界からの邪気に対する防御力)を強化することが重要です。中医学では、衛気を強化することで、外部の有害物質や邪気の侵入を防ぐと考えています。
衛気を高めるための方法
黄耆(おうぎ)や人参など、補気の薬を使うことで、気を高め、免疫力を強化します。
桂枝湯や麻黄湯など、発汗作用のある漢方薬を使うことで、体外から侵入する邪気を外に排出することができます。
自律的な免疫機能を高める食事や生活習慣の改善(例えば、規則正しい生活、適度な運動、バランスの取れた食事、十分な睡眠)も衛気を高める方法です。
まとめ
公害や毒物が腎虚や肺疾患に与える影響は非常に大きいと考えられます。中医学では、これらの影響を防ぐために衛気を高め、肝腎の機能を補うことが重要です。また、腎虚や肺機能の低下は相互に関係しており、腎虚が進行すると肺にも影響を及ぼし、逆に肺の問題が腎に影響を与えることもあります。これらのバランスを保つために、日常的な毒物の排出や健康維持が重要です。