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#14 ボーダーラインをまたいでみたら ~越境について考えた~

以前から「越境は大事!」と言われているのですが、越境して何を学ぶのか、あらためて言語化してみようと思います!

越境とは

意外に奥深い言葉

さて、越境とはまさに自分の日常の枠を飛び越えるということ。

単純に「越境」というと、土地の境界をまたぐことや、それにまつわるトラブル(植木が隣の家にはみ出して邪魔だとか)を想起するので、「越境学習」といった方が分かりやすいのかもしれませんが、ここでは「越境」で通しますm(__)m。

書籍によっては、いわゆるアウェイの環境に身を置くことが越境であり、社内異動などホーム内での移動は越境とは言わない、としていることもあります。ふむ。

しかし私は、自分の精神的・日常的枠組みを外れれば越境だと考えています。
例えばいつもは家族としか話さないところを隣の人に話しかけてみること、
いつもは国内旅行しかしないけど、海外に出て現地の人と話すこと、
いつもは自分のデスク内で自分にアサインされた仕事をしているけど、同僚の仕事をやってみること、
いつもの仕事を離れて、全く違う業界・業種にチャレンジすること…
などなど、レベル感は様々だけど、全部「越境」ではないかと思います。

その重要性や最近の研究についてはコチラの記事がとても参考になりました。

思い出作りじゃもったいない

ところで、人材育成やキャリア形成に越境を取り入れることがあると思いますが、「うーん、良い体験になった…」で終わることもたくさんあるのではないでしょうか?
学習はアウトプットの向上があってこそ価値があるので、せっかく越境したなら、それよって何かをつかみ取っていきたいものです。

しかし、どうやったらその「何か」を掴むことができるのか?
私は、それにはちょっとしたコツがあると考えています。

越境のコツ

今回の背景

さて私事ですが。私は、牧場に勤務する牛の獣医師です。
先日、勤務先とは違う「A牧場」に行ってきまして、そこの診療所の仕事を2日間体験させていただきました。

私もある程度できるようになったと思っていたのですが

すみません、思い違いでしたっ!!

と思うほどハイレベルでした。いやはや。
診療は1頭1頭きちんとデータを取って行われますし、それに基づく治療も、ケアが従業員の作業に落とし込まれる仕組みも見事。
それが機能しているかって、牛のツヤ・育ちを見れば一目瞭然。

こんな仕組みを作り上げ、大きな牧場をひとりで切り盛りされている担当獣医師Aさんには、本当に畏敬の念しか浮かびません。

そんな体験を通して、今の牧場で取り入れられることはないかを考えて行動しています。…
というのが今回やってみた越境です。さて。

流れは「比較・認知・行動」

書いてみると当たり前なのですが、こんな流れですね。
比較
:「日常」と「越境先」の2つのものがあるので、比較ができます。
認知:比較をしたら、違いを認知することになり、そこに自分たちの目標を実現するためのピースになりうるヒントはないかと考えます。
行動:ヒントを得たら、それを実現する意味や、逆にできない理由などを関係者と打ち合わせ、より良い道を見つけ実行します。

越境を思い出作りで終わらせない行動のイメージ

比較は「ポジション・フロー・ストラクチャ」

比較をするときの視点もたくさんあると思いますが、私は基本的にこの3点と考えています。

ポジション:例えば自分のレベルってどのぐらいか、みたいなものを他人を鏡にして推し量ることができます。今回の場合は、教えてくれた担当獣医師Aさんが私よりも一回り若いのに技量が高い!ということを目の当たりにし、「これが『できる』ということか、ここを目指さなければならないんだな」ということを認知させてもらえました。

ポジショニング例 診療スキルのように数値化できないものは主観でOK

同時に、追求する軸を「医療の質」にするのか、別の軸にするのか、考えさせられます。Aさんのようになろうと思ったら、とんでもない勢いで努力しなければならないことは、誰の目から見ても明らか。それよりも、もっと別の自分の強みとなる軸を見つけたほうが良いかもしれない、と考えることにもなりました。

フロー(業務の流れ):例えば子牛の治療の流れを見ていると、ある症状に対してひとつの決められた治療の流れを当てはめていて、かなり簡潔になっていると感じました。
早期発見・早期治療を形にしたら、こうなったそうです。

一方自社の流れでは、スタッフは最初の段階で投薬するかどうかで既に悩んでいるし、真ん中のステップで獣医に相談するかどうかでも悩んでいます。そして明らかに症状が悪化してから治療依頼が来るので、その後の治療も長引くようです。
子牛スタッフに逐一悩ませている現状を反省しました。

A牧場と自社の子牛治療業務の違い あまり正確ではないけど、だいたいこんなニュアンス

ストラクチャ(構造):A牧場は、垣間見えただけでもかなり部署が細分化されていて、特に獣医が診療やスタッフへの指示に専念できるよう、検査&事務業務や繁殖を担う専門チームが編成されています。
一方、私たちの牧場では検査業務(知れたものですが)も繁殖も獣医が担いますので、組織構造も比較的シンプルです。しかしひとつのセクションにかかる業無負荷が重くなっているとも言えます。

ストラクチャ(組織構造)の比較

自社では獣医が3人になった時点でひとりを繁殖専任、ひとりを治療専任、私が統括という形にしたのですが、組織化して効率を上げるという点で悪くないやり方だったかもしれないと思いました。
また、検査や事務といった少し牛から離れた業務をもう少し厚くしても良さそうだ、というアイデアも生まれました。

構造って、会社組織だけでなく、業界の構造だったり、ビジネス上の戦略(利益をつくる構造)だったり、色々な視点がありますね。

行動、反対、気にしない

認知を行動に移してみたい、こんなことやってみてはどうかしらと提案すると、大抵メンバーから言われるんです。
「え、やだ」

…へこむわー(-_-;)

せっかく越境して学んできたというのに、にべもなく。

しかしこれはある意味当然のことで、今までやってきたことが簡単に変わると思う方が間違い。
メンバーにはメンバーの、反対する理由があるのです。

反対する理由を注意深く紐解き、どうすれば自社へのアレンジができるのか道を探る。この辺ぐらいまでは想定しておくのが、越境するときの心構えではないでしょうか。

まとめ

最初に触れたように、越境には気軽にできる精神的なものから、実際に時間を作って動くといった行動を伴う越境まであります。
どちらの越境も、気づきを言語化していくという工程はあったほうが良いと思います。気軽な越境なら、日記に感想を書くとか。
大きく動く越境を行うときは、その後に控える「行動」までイメージするぞ!という気持ちで挑むと、きっと大きな収穫があるのではないでしょうか。



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AKI_「やさしいひと」のキャリアチェンジ
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