恋を終わらせる「おわ恋」ドラマ『僕だけが17歳の世界で』
終わった恋、略しておわ恋作品に注目して、見つけたり思い出したら記録していきます。
誰にでもおススメできる『僕だけが17歳の世界で』
『僕だけが17歳の世界で』は今年の4月2日まで毎週AmebaTVで配信していました。3話までは無料で視聴できます。
主演は佐野勇斗と飯豊まりえ。メインキャストは結木滉星、大友花恋、渡辺佑太朗ら若手俳優で、その脇を石田ひかり、浜野謙太、袴田吉彦らベテラン勢が固めています。
えー、私は石川伊織役の結木滉星ファン。いまもサイン入りカレンダーに見下ろされながらキーを叩いています。
出演の一報を聞いたときは「やった!! ドラマ!! 楽しみ〜でも配信か~、地上波にも出てほしいんだよな~」なんて贅沢な不満を漏らしていましたが、テレビで見つつiPadでスクショを撮りながらiPhoneで実況ツイートをするという、AmebaTVならではのやり方で毎週めちゃくちゃ楽しんでしまいました。
しかも伊織は学生時代モテモテの医者の息子。制服と白衣を拝めるうえに、報われぬ片想い、罪の意識、葛藤、決意……演技力を堪能できました。ありがとう僕せか、ありがとうAmebaTV……。
そしてこのドラマ、終わってみればすべてが絶妙。シンプルながら地上波ゴールデンに引けを取らない、誰にでもおススメできる良作だったんです。
正直、ドラマを見るってカロリー使いませんか。初回2時間スペシャルなんてむしろ気おくれするし、1クールに何本も見続けるの、けっこう厳しい。だから、終盤もっと長くてもよかったのに……と寂しくなりつつも、僕せかの35分全8回という短さはありがたかった。
エモーショナルな部分をじっくり描くために、急に生き返ってどう生活するの? なぜ桜が散ったら終わりってわかったの? みたいなSF上必要な描写をかなりあっさり済ませた、的確な仕分けぶりも好ましかったですね。
そして特筆すべきはロケーション。全編撮影が行われた長野県の美しい景色が、時間や人数の関係で、ともすればミニマムになりかねないスケールを大きくみせていました。5人で見た朝焼け、綺麗だったなぁ……。
個人的にはややトゥーマッチに感じられた部分もあったけど、挿入歌『桜の木の下』、主題歌『70億にただ1つの奇跡』も欠かせないファクターで、感動を最大限に盛り上げてくれました。
恋を終わらせる「おわ恋」ドラマ
それでは、僕せかの「おわ恋」ぶりについて。まず公式のあらすじを抜粋したのが以下の通りです。
「もし奇跡が起こるなら、もう一度会いたい。今度こそ、君に想いを伝えたい」
航太と芽衣は、幼馴染の高校二年生。ふたりは“好き”という想いをいつだって伝えられると思っていたが、航太は突然この世を去った……。
7年後の2020年。芽衣は7年ぶりに故郷に戻り、航太との思い出が詰まった桜の木の下を訪れる。そこに現れたのは、死んだはずの17歳のままの航太だった。
奇跡の桜が咲く間しかこの世にいられない航太は、残された時間で芽衣に想いを伝えることができるのか。航太と芽衣の幼馴染の恋の行方は? 航太の死に隠された衝撃の秘密とは? 最後にふたりがとった運命の選択は――。
誰が見てもお似合いのふたりがとうとう桜の下で会う約束をした日。つまり恋が始まるはずだった日に、航太はこの世を去ってしまった。
芽衣にとって航太との恋は、7年前、始まる前に終わってしまった「おわ恋」なんです。
この恋が彼女の人生にどれほど大きな影響を及ぼしたかは、冒頭、芽衣が不倫相手の奥さんからビンタされる場面のしょっぱさでしみじみと伝わってきます。やりがいをもって働けていたわけじゃないようだし、相手がカメラマンなのもなぁ……航太、カメラマンになりたがってたんですよね。
真っ当な恋愛ができない。大事な友達とも疎遠になった。前向きで明るかった芽衣の人生はあの日からすっかり変わってしまった。
しかし7年後。24歳になって17歳の航太と過ごす時間は、傷ついた芽衣を少しずつ癒してくれました。そして最終話。航太は桜の木の下で芽衣に告白、恋をきちんと終わらせてくれるんです。
航太と芽衣をずっと気のおけない幼馴染として描いてきたのに、最後の告白が「芽衣が好きです。子供の頃からずっと、ずっと大好きでした」って丁寧語なの最高だったなー!! ふいを突かれて涙してしまいました。
航太はふたたび自分を失う芽衣を、彼女に片思いしていた伊織に託したがっていたんですが、そういう未来は見せないバランスにも安心。
そう。いつか伊織とどうにかなってもいいし、ならなくてもいい。だって航太との恋をきちんと終わらせた芽衣は、きっと明るく前向きに生きていけるはずだから。
恋をきちんと終わらせて、これからの人生を明るく照らしてくれる。『僕だけが17歳の世界で』はそんな「おわ恋」ドラマでした。