知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は恐れない(論語子罕篇第九)
福光 寛
『中庸』の以下のフレーズは学問への姿勢を言っているように読める(写真は湯島聖堂にある孔子像 2020年2月24日)。
先生(孔子)はいう。学ぶことが好きなものは知に近い、努力して学ぶものは仁に近い、(知らないことを)恥と知るものは勇気がある。この3点を知るものは、努力して自身の徳を高めることを知っている。徳を高めることを知った人は、すなわち人を治めることを知る。人を治めることを知った人は、天下国家を治めることを知る。(子曰:好學近乎知,力行近乎仁,知恥近乎勇。知斯三者,則知所以修身;之所以修身,則知所以治人;治所以治人,則治所以治天下國家矣。)
『論語子罕篇第九』にちょうど、重なる記述がある。
先生はいう。知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は恐れず。(子曰:“知者不惑,仁者不憂,勇者不懼。”)つまり仕事の上で、迷ったり心配したり、恐れたりしない境地。そこを目指して勉強しよう。
仁が分かりにくいので、『論語里仁篇第四』より引用を重ねる。先生はいう。もし仁を志(こころざ)せば、悪というものはない。(子曰:苟志于仁矣,無悪也。)先生はいう。君子は仁を離れて何かを成し遂げたりはしない。君子は食事をとる間ですら仁から離れたりはしない。(子曰:君子去仁,悪乎成名?君子無終食之閒違仁)先生はいう。人の誤りは、自身の利害得失にとらわれることで生じる。誤りを知ることで、仁(という自身の利害得失から離れた境地)を知ることができる。(子曰:人之過也,各于其黨。觀過,斯知仁矣。)仁者が憂えないというのは、自身の利害得失を心配しない、ものごとを客観的にみる境地をいうのであろう。
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