公開講義証券市場論ー演習形式で学ぶー Seminar on Securities Markets

2022年2月11日 09:33

　証券市場論といって誰もが、イメージするのは株式市場のことでしょう。この講義で、株式取引の基礎を学べる、と期待するかもしれません。確かにそうした話もしますが、ここでお話しするのは、「証券」というものを使った取引のお話しです。証券市場論、証券経済論は多くの大学で開講されています。この科目は、しばしば金融論と同じように導入科目として位置付けられる面があります。
　ところが現実に近いがゆえに、社会の現実をいろいろ知っていないと、証券市場論で議論するべきことを、大学の低学年の学生が理解することは実は困難です。証券市場論を株式投資入門のように運営したい証券会社の考え方に大学や研究者が迎合する必要はないように思います。個人的にはこの科目を低学年向けに投資入門講座のように開くことは避けて、市場の在り方を分析する専門科目として開設して、証券市場を素材に学生が経済の現実と向き合う科目にしてほしいと思わないではありません。残念なことは、この科目の奥深さ（議論すべき内容）が分かっている研究者そのものが、あまり多くないことです。
　証券にも実はいろいろなものがあるのですが、証券市場論の講義では、その中の「資本証券」と呼ばれるものを中心にお話しします。「資本証券」の定義は後で行いますが、とりあえずは、株式や債券のことを指しているとしておきます。
　講義の前半は、その株式の話、そして後半は債券の話になります。これからお話を進めると明らかになるように、証券市場は実は、私たちの生活に大きく関わっています。株価の動向は、景気のバロメーターになっていますし、株式市場は、日々企業の価値が評価される場所であり、企業買収の場でもあります。債券市場の中心である国債市場は、長期金利がまさに決定される場所になっています。これらの市場がいかに機能しているか、そのことがこの講義で議論される内容になります。講義の目標は現実の経済システムについての、皆さんの理解を深めることにあります。その理解は、いろいろな科目を経てからの方が当然深いのです。そうした意味で、この科目は、できれば社会経験も積んでいろいろな問題意識をもててから、株式市場についてはできれば投資の経験をしたあとに、受動的にではなく主体的な関心をもって履修すべきだと考えています。
　講義で使ったパワーポイントはResearch Mapの私のpageに保存しています。一部2023年版に改定済でそれは本文中からアクセス可能です。ダウンロードして改変せずご利用ください。内容についての疑問は別途お問い合わせください。動画として利用する場合は「スライドショー」をクリック、つぎに「最初から」をクリックすると動画再生が始まります。コンテンツの量に応じて6秒から10秒位でスライドが変わります。早すぎるときは停止させ、急ぎたいときは自身で早めてください。パワーポイント資料の末尾に演習が用意されています（実際の講義の中で演習も行うには、講義を圧縮して演習の時間を確保する工夫が必要です）。
なお　辞書を用意しました。取引所用語　姉妹講義として「公開講義　財務管理論ー演習形式で学ぶー」があります。

1) 証券と証券市場証券と証券市場（in goo）音声ファイル１
　今私たちはどのような世界にいるのか？新しい資本主義
 コロナの収束とウクライナ侵攻　ウクライナ侵攻と中国