インターネット前夜
インターネットをパソコンによる通信まで広く考えると、時代は相当昔にさかのぼります。
パソコン通信からはじまったわけではない
アメリカにTCP/IPによるネットワークがあると聞いたのは、たぶん私が20歳前後の頃だったと思います。その頃、日本ではまだパソコンによる通信が行われていませんでした。
なんで私がアメリカでTCP/IPによるネットワークがあるのかを知っていたかというと、アマチュア無線をしていたからです。月刊CQ誌という本があります。それにTCP/IPの連載記事がありました。
先にアマチュア無線からはじまった
(出典:30年前のパケット通信(アマチュア無線) | KLB嵐山・みけねこのブログ)
アマチュア無線にTNCというモデムをつけて通信していました。通信プロトコルにX.25という規定があり、アマチュア無線用にはAX.25という規定ができました。
通信速度は1,200Bps半2重通信。つまり、相手が送信しているときには、こちらは送信できない仕様。日本で一般化しはじめたのが1984年。一般的な人のコンピュータがネットワークにつながったのは、これが最初だと思います。
パソコン通信全盛期
1987年にPC-VANとNIFTY-Serveが商用パソコン通信事業を開始しました。電話回線にモデムという電気信号を音声に変換する装置をつけて、電話交換網で通信するのです。
仕組みはパソコンがモデムを使ってサーバーに向けて電話をし、通信を終わるまでは電話をつないだままにしておく形態でした。全国にアクセスポイントという接続先が用意され、市内電話料金でつないでいました。市外になる人もいましたが……。
あらためてパソコン通信のことを説明すると、イメージとして「PC-VANという一つのメインコンピュータにみんながアクセスする」という感じで、事業者が違えば、メールも届きませんでした。
インターネットの登場
1995年Windows95の登場により、インターネットがパソコンマニアの間で広まりました。一般の人ではありません。インターネットをするのは「パソコンマニア」だけの時代がありました。
PC-VANなどの事業者がインターネットを開始し、やっと日本でもインターネットができるようになりました。電話回線を使った通信で、モデムの速度は2,400bpsからはじまり56.6kbpsまで、スピードアップしたように記憶しています。
その後、深夜11時から翌朝の8時まで、あらかじめ指定した2つの電話番号が定額で使えるというプランがNTTから登場し、インターネットをする人は夜遅くまで起きているような生活になりました。
通信のデジタル化
日本にISDNが普及しはじめたのは1995年からです。しかし、ISDNになってもアクセスポイントに電話するという方式はしばらく変わりませんでした。ISDNになると64kbpsまたは128kbpsで通信できました。
通信の常時接続
常時接続になるのは2000年です。フレッツISDNにより定額で通信ができるようになりました。ISDNは2回線分の容量があります。1回線は電話機に、もう1回線はインターネットにつなぐというのが普通の使い方でした。
その次に登場するのがADSLという通信方式です。普通の電話線を使用しますが、1.5Mbpsもスピードがでました。今までの24倍のスピードですから、これは驚きです。ADSLも2000年から広まっていきました。
その後、ADSLは8Mbpsまでスピードを伸ばしましたが、光回線の普及は思っていたより速く、2006年にはADSLの減少がはじまりました(DSL契約者数、初の減少)。
通信のブロードバンド化
光回線になってからの技術革新といえば無線LANが一般化したことです。それまではONUという光信号を変換する装置からLANケーブルでパソコンにつないでいました。無線LANの規格はどんどん進化し接続速度がアップしました。
振り返ると、ISDNもADSLもほんの短い間の活躍でした。2000年以降、通信回線とパソコンがスピード競争をし、どんどん進化していたような時代です。
スマートフォンの登場により無線LANは発展し、Webサービスもスマートフォンに最適化してきました。
さて、インターネットを進化させる「次」はなんでしょうか?
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