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印象に残るニュースキャスター

昨日ナレーターの久米明さんが亡くなった。昔日曜日の夜に「素晴らしい世界旅行」という30分番組がありそのナレーションを久米明さんが担当していて海外の風景や動物などの映像と共に流れる落ち着いたナレーションが好きで毎週日曜日は楽しみにしていた。

その久米明さんの訃報を聞いて改めて思い出したのが男性のニュースキャスターだ。TBSのJNNニュースコープという報道番組で昭和50年代だろうか、夕方6時台に1人でキャスターを勤めていた。いつも淡々としゃべるキャスターでその語りが好きだった。

古谷綱正さんである。

ある日番組の最後で今日のこの日を最後に自分は番組を降ります、と挨拶しそのまま番組が終わってしまった。

何の前触れもなく突然のことだった。唖然とした。あまりにも呆気ない。普段と変わりなくいつも通り淡々とした語り口は最後の挨拶も変わることはなかった。

淋しさを感じると共になんと潔い終わり方だろうと次第に溢れる感情が高まった。

感情を交えることなく普段から淡々とニュースを読み上げる客観的な姿勢を最後まで貫いた。番組を降りるのはあくまで個人的なことであってまた後継者が自分の後を引き継ぎますのでどうぞ宜しく。言葉には出さないがそんな感じの挨拶だった。

その昭和が終わり、平成が過ぎ去り令和の時代になった。

時代が変わってあの淡々とした報道をするアナウンサーやキャスターは見られなくなった。時代の流れと言えばそうなのかも知れない。それでも人々に知ってもらうべき報道だからこそ感情を交えず淡々と伝える。その一貫性を最後まで貫いたニュースキャスターは記憶の奥底にしっかり残っている。

自分もそんな人々の記憶の奥にしっかり根付く文章を書きたいと思う。

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