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中小企業のDXは苦労と工夫で(3) ~IPA製造分野DX事例集から
DX事例ヒアリングの実施状況
IPAの「製造分野DX推進ガイド」の事例集に掲載しているDX事例ヒアリングは、第1期の14社と第2期の11社で実施してきました。さらにこれらの前に2019年に実施したHILLTOP株式会社と一般社団法人京都試作ネット(ヒアリング先:株式会社名高精工所)の2社を加えて、合計27社のヒアリングを実施しました。
コロナ禍もあり、ヒアリングは現地が約2/3、オンラインが約1/3になりました。なお私は株式会社IBUKIや旭鉄工株式会社など8社に現地ヒアリングをしました。
DX事例ヒアリングの感想
(1) 社長による企業風土変革
第1回のヒアリング概要にも書きましたが、実際に現地ヒアリングをするとどこでも既存の「企業風土を変革する」という社長の熱い思いが伝わってきました。社長の思いが全社に行き渡っているのが感じられました。
(2) 整理整頓
今回のヒアリングは中小製造業を対象にしていましたので、現地ヒアリングでは工場見学をしていましたが、多くの工場では「整理整頓」されていました。
工場の整理整頓はDXとは関係ないように思えますが、これはDXにおけるデジタルデータの整理整頓に繋がり、DXを推進する企業風土を醸成することになるでしょう。きっと。
(3) アナログ
工場の中にはタブレットやディスプレイ、各種センサーなどの「デジタル装置」がそこかしこにありました。それとともに掲示板などの「アナログ装置」も比較的活用されていました。
このようにデジタルだけでなくアナログも活用するのは重要なことだと思います。デジタルによるアナログの置き換えがDXの目的でなく、あくまでも長期的な収益増加などの目的のための手段のひとつであり、そのために有効であればDXの文脈とは別にアナログの活用も大事だと思います。
(4) デジタル
上記にもあるように工場内には多くのデジタル装置が配置されていました。これは如何にもDXの王道であり、(DX事例のヒアリングなので当たり前ですが)デジタルに力を入れていました。この熱い思いが伝わってきました。
DXの先進事例から見ると、これはデジタルによるアナログ置き換えのような単なるIT化に見えるかもしれませんが、前節のDXとIT化に書いたように、その企業にとっては立派な作業変革になります。
(5) カイゼン
工場ではカイゼンやTPS(トヨタ生産方式)の考えが浸透していました。根底にはこの考えがあり、徹底的な無駄の削除に努めているのがわかりました。(1)で紹介した社長の思いと同様に、製造現場の思いがありました。これがDX推進の燃料になっているように思いました。
前節のDXとカイゼンで書いたように、両者は区別されていて、別物という考えがありますが、カイゼンをベースにしても、全社単位で長期的視点に立ち、変革レベルのカイゼン(カイゼンという言葉から飛躍していますが)であれば、それは立派なDXでしょう。
(6) 困難な状況の打破
どの会社も順調な状況でDXを始めたのではなく、困難な状況にあったのを打破するためにDXを始めています。始めた時期により、DXと呼ばれる前からDX(的なこと)を開始していた事例も多くありました。
ヒアリングでは困難な状況を打破してDXを進めるドラマがありました。この詳細はIPAの「製造分野DX推進ガイド」の事例集にありますので、ぜひ、ご覧ください。
今回の「中小企業のDXは苦労と工夫で ~IPA製造分野DX事例集から」シリーズはこれで終わりになります。
事例紹介は講演でも人気のネタで、私が現地でヒアリングした事例はもっと詳細に(ドラマとして?)話したいと思います。
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