留学前に読みたいお勧めビジネス入門書籍
スタンフォードMBAでの実体験を踏まえて、留学する前に読んでおくと良い入門的なビジネス書を15冊紹介します。留学予定者だけでなく若手社会人にもお勧めです。
どれも平易で、頁数が多くなく面白い本ばかりなので、留学前などに10日程度集中すれば読み切れます。留学前に読んでおくと、特にビジネス系の授業や生活等での学びをより大きくできます。
また、以下の多くは英語が原著なので、英語版で読めば留学等に必要な英語力の補強にも繋がります。
イノベーション・オブ・ライフ
HBSクリステンセン教授の本。各章の冒頭で経営学の様々な理論が紹介されてそれ自体勉強になるのだが、なんとそれらが実は経営にとどまらず個々人のプライベートな人生にも大いに活用できることを示してくれる。テーマはキャリア構築から子育てや人間関係の構築まで多岐に渡る。企業のマネジメントを超えて人生のマネジメントを学べる。
イノベーションのジレンマ
いつの時代でも、その時代をリードする一見無敵に見えるような大企業が無残にも名もなき新興企業に敗れ去る現象が繰り返されてきたが、その理由を解き明かした本。「その分野はこの有力企業がいるから...」を理由に新規ビジネスを諦める必要はないことがわかる。割とあらゆるビジネス系授業の前提になっていると思う。
なお、『イノベーションのジレンマ』では問題を提示するだけで解き明かされなかった、「では大企業側はイノベーションのジレンマに具体的にどう対処すればよいのか?」への解は、以下の『両利きの経営』にて詳細に論じられている。余裕があれば、同書の続編のつもりでこれも読んでおくと授業でより深い議論を提供できる。
〔エッセンシャル版〕マイケル・ポーターの競争戦略
競争戦略の第一人者であるマイケル・ポーターの理論を簡潔に要約。本文部分だけ読めば随分短い上にわかりやすいのですぐにエッセンスが得られて良い。具体例も豊富。事前に読んでおくだけで、戦略論、マーケティング、ミクロ経済学、管理会計等、多種多様な分野の授業の理解が横断的にとても深まる。
ジョブ理論
「人が商品を買うのは何らかの具体的に片づけたい『ジョブ』を片付けるためだ」というシンプルな根源に立ち返ってマーケティング理論等を再構築する。無機質な分厚いマーケティングの教科書を読むより何倍も頭に入ってくる。クリステンセン教授の本は基本的に全部お勧めである。
キャズム Ver.2
出だしは好調でイケイケだった新製品やスタートアップが一時を境に突如停滞しやがて死に至ることは巷によくある話。それがなぜ起こるのか、どうすれば防げるのかを解説した本。マーケティングや起業関連を学ぶ上での前提知識として必要。
予想どおりに不合理
組織論やマーケティング等、ビジネスでは様々な分野で行動経済学が前提知識として登場するので、行動経済学の理解は必須。この本はそのテーマを平易に解説する。留学先の授業で登場する研究等の多くが網羅されている。しかもストーリー豊富で読み物として楽しく、休暇先などに持っていって軽い読書にも使える。
GIVE & TAKE
特にエリート層は常に競争に揉まれ続けるため、他人からいかにテイクしてのし上がるかという発想に繋がりがちだが、実はテイクする人よりも他人にギブする人こそ社会では成功していることを解き明かした本。テイカーは他人から奪い取るだけなので周囲にはゼロサムまたはマイナスサムが生じるが、ギバーは他人に惜しみなく与えることで、自分も自分の周りの皆も上手くいき、周囲にプラスサムを作り出せる。留学生活や授業にあたっての指針になる。
MBAバリュエーション
MBAでは企業価値評価が必須だが、それを大変分かりやすく解説した傑作。古いが内容は色あせない。ファイナンスの授業の理解が捗る。
バリュエーションの教科書
上記『MBAバリエーション』の続編的使い方ができ、同書よりファイナンスを深堀りできる。こちらも分かりやすい。
スタンフォードの教え「ビー・ユアセルフ」
留学の心構え。スタンフォードMBAに留学した筆者(実は私のメンターでもある)が試行錯誤しながら卒業するまでを描くエッセイ。留学生活とはどんなものか具体的にイメージができるし、留学期間中に何を学ぶかの目標設定・限られた時間で現実的に何ができるのかといった点や、留学中の自分の立ち回り方のイメトレができる。なによりこの本を読むと留学に向けてのモチベーションが沸く。
リーン・スタートアップ
批判もあるが少なくとも米国の多くの大学のスタートアップ関連の授業はリーンスタートアップの考え方を出発点に構成されていると思われる。スタートアップ界隈の共通言語として必読。
VCの教科書
米トップティアVCのパートナーである著者が、資金調達事情をVCの目線から平易にかつ内実まで含めて詳細に書いた本。私は実際に著者の授業を受けていたが分かりやすくて大人気だった。それがそのまま書籍化されている。この本でスタートアップのエコシステムを学んでから授業に出ると授業の理解が一層進む。
財務3表一体理解法
会計は留学前に簿記二級程度の知識があるとよいが、最悪この本の内容を事前にしっかりと理解しておく程度で後はその場で頑張れば何とかなると思われる。とても薄いし記述が平易なので忙しい中でも読める。
交渉の達人
ネゴシエーションの授業の前提知識に最適。本の内容は私が実際に授業で学んだ内容とかなり重なるので、著者(HBS教授)は授業をきっとほとんどそのままこの本の内容に落とし込んでくれているのだと思う。
なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?
正直この本は翻訳調でとても読みにくいのだが、それでも一読しておく価値がある。著者はHBS卒業生。特にビジネススクールに行くと、様々な「高尚にみえる」学問を学び、頭でっかちになって営業を軽視しだす人を時折見るが、営業はあらゆるビジネスの中核。そういう人になってしまわないように、行く前にぜひ読んでおきたい。
追記—その他のお勧めビジネス書籍
特に起業関係のその他のおすすめ本について、以下にも記載しましたので、宜しければご参照ください。
その他、下記ツイート内にスレッド形式でぶら下げる形にて、随時、ビジネス関係のお勧めの書籍(多くは入門レベル)を紹介しています。
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