見出し画像

私の燃え尽き症候群20241112

はじめに

ローイング競技に10年以上携わってきた中で、
あの手この手で何度も自分を奮い立たせたり、
だましだまし行ったりして、
日々のトレーニングに打ち込んできました。

そのモチベーションを支え続けてくれた期間の8割以上は、
「こんな自分が嫌いだ」という自己否定からの脱却や、
何かを達成しなければ何者にもなれないという強迫観念が、
自分を突き動かすエネルギーとなっていました。
いわゆる負の感情です。
「怒られるのがいやだから」「先生に言われたから」というのもまた、
負の感情の一つですが、
このブログでは
自己否定からくる感情を負の感情とします。

今回は、
自己否定という「負の感情」から生まれるエネルギーに頼りすぎることが、
短期的には良くても、
長期的には心身に負担をかけ、友人を傷つけ、
長期的に見れば損するかもしれないということを、
私の経験を交えてお話ししたいと思います。


負の感情のメリットとデメリット

競技の世界で何かを成し遂げようとすると、
どうしても「負けたら終わり」とか
「敗者には価値がない」という強い気持ちが生まれます。
このような負の感情は、
短期的には大きなエネルギー源になり、努力に向かわせます。

こうした感情は、私の場合
トレーニング中の追い込みや集中力を大きく引き出してくれました。
私はこの負のエネルギーに頼ることで、
オリンピックに出場できるなど大きな成果を得られた瞬間もありました。

しかし、負の感情には大きなデメリットもあります。
今回は負の感情によるエネルギーを、自己体験を主に踏まえて紹介します。

成功したら終わり

1つは、成功したら終わりだということです。

「日本一になれないと、自分に価値がない」
と自己設定してしまった選手にとって、
本当に日本一になってしまった場合、目標が無くなります。

「オリンピックにでたい」と思っていた青年が、
一度オリンピックに出れば、次は
「メダルを獲れなければ意味がない」に変化します。

できない自分がいるから頑張れるのであって、
成れてない自分がいるから頑張れるのであって、

できてしまうと、成れてしまうと、
そこで目標を失います。

また新しい「できないこと」を見つけるか、
「成れてない自分」を見つけるかしないと、
新しい目標に向かって努力することはできなく
なります。

つまりは、一生幸せにはなれないのです。
常に不満足、その状態になります。
「飽くなき向上心」と言えば聞こえが良いですが、
そんなものは向上心ではなく
飽くなき現状否定、飽くなき自分否定」であり、
ただただ今の自分を否定しないことには前には進めないのです。

他人に対しても否定的になる。

自分が設定した「成功者」に憧れる反面、
成功していない自分に対して否定的になるとともに、
同じ様に成功していない周りの人に対して否定的になりやすいです。

「優勝しないと満足できない」と設定した自分がいたとして、
でも優勝してないのに今に満足している周囲がいたら、
その「向上心の低さ」に苛立ちます。

周囲にも自己否定を求めます。
「そんなレベルで満足してるつもり?」
みたいな事を言い始めます。

本当は、今の自分を優しく認めるべきなのに、
今の自分を認めてしまったらもうそれ以上は行けないんじゃないかという恐怖からそれができません。
それなのに、周囲はその状況でもなんだか幸せそうで、羨ましい。
だけど怖い。だから周囲を攻撃する。そんな感じです。

一生幸せになれない。

先に書きましたが、
目標を達成したところで、また新しい不満を探してしまうので、
幸せは一瞬であり、長続きしません。
もっと強い人、
もっと成功している人
もっと〇〇な人を探し、
自分にないところを見つけ、不満に感じ、
その穴を埋めようと努力し続けます。

人との比較でしか、自分の存在意義を感じられないので、
「上」と設定した人を見て自己否定し、
「下」と設定した人を見て鼻で笑う
、そんな人になってしまいます。

自己否定を繰り返す人間、そして
他者否定もしてきそうな人間と一緒に居たいでしょうか?
結果、周りから人がいなくなります。

ただ、めちゃくちゃすごいエネルギー

自己否定からくるエネルギーは、決して長期的な幸せにはなれないものの、「飽くなき向上心」から、自分を奮い立たせることができます。
どれだけ成長しても満足しないので
毎日のように激しい努力を積み重ねることができ、
数年は恐ろしい勢いで成長することが多いです。

問題は、数年だと言うことです。

負の感情は長続きしない。

負の感情のエネルギーの最大の問題点は、
長続きしないということです。
途中で「成功してしまった」り、「これ、一生幸せになれないんじゃね?」って気づいた瞬間、もう湧くものがありません。

私の場合、約2〜3年間ほどは強い負の感情でトレーニングを続けられましたが、その後徐々に疲れや無力感に襲われ、燃え尽きてしまいました。

一旦燃え尽きて、また、新しいジャンルの負の感情を探してまた2〜3年頑張る、そういったことを2回ほど続けて、
やっと、価値はあったけど、不毛だったかもしれないと思うように成りました。

正の感情の重要性

純粋に「ローイングを楽しもう」とか、「もっとうまくなりたい」、「もっと速くなりたい」という気持ちが、最も長続きし、最も大きな目標に到達するためのエネルギー源だと思っています。

他者を攻撃することもないため、より良い人間関係を築ける可能性が高く、
その結果周囲の協力も得られてより高い目標に到達することができます。

デメリットは、負の感情ほど、爆発力がないこと。
ただし、ずっと変わりなく努力し続けることができます。

「上手くなった」から「もっとうまくなりたい」と思うのは、
自己否定をエネルギーにしている人の「こんなので満足していちゃだめだ、もっと上手くならなければ」という感情とは似ているようで全く違います。

「もっと速くなりたい」「技術を磨きたい」という気持ちは、
一度達成しても尽きることがなく、逆にもっともっと成長したいという意欲に繋がります。

私自身も、正の感情を大切にするようになってから、トレーニングの質が変わりました。気持ちが自由になりました。人間関係においても気が楽になりました。他者は自分を否定する存在ではないのです。

「今まで充分頑張ってきた自分を認めてあげること」、
「より良い自分に向けてもっと頑張ろうと思うこと」と考えるようになると、
自分への縛りが無くなり、人に優しくなり
トレーニングへの姿勢が前向きになり、
日々の練習が充実したものに感じられるようになりました。

おそらく、それぐらいから性格そのものも人並みに明るくなったように思います。正の感情から来るエネルギーは長続きするので、
結果的にローイング競技をもう一息続けるための原動力となりました。


「Have toはWant toに敵わない」、の嘘とほんと。

負の感情が一概に悪いものだとは思いません。
負の感情が最初の大きなロケットとなった選手、経営者はたくさんいます。
だからこそ、私の経験からも、負の感情と正の感情をバランスよく取り入れることが重要だと感じます。(おそらく最初のロケットは負、2段目のロケットは正に)

もし負の感情による行動に、息苦しさ、空虚を感じたならば、
それは転換点、2発目のタイミングなのかもしれません。

短期的にはWant toは負けるように思いますが、
十年単位では圧倒的にwant toが勝つように思います。

この記事がそうした人のきっかけになれば、
自分の体験が活きて嬉しいです。

長い人生

競技は数年で終わりますが、
人生はその何倍も続きます。

競技で得た筋肉は数週間で無くなりますが
競技で得た人間関係は一生続きます。

「過去に最も不幸な経験をした選手が最も成功する」という言葉も
あながち間違っていないと思いますが、

いつかそれだけじゃ続けられない日が来ると思っています。
自分を傷つけることでしか前に進めない人がもしいるのなら、
それで今途方にくれているのなら、
「現状に満足する」という最も受け入れがたい事実を
受け入れてみてはいかがでしょうか?

以上になります。

この記事がよければスキ&フォロー&メンバー加入お待ちしてます!

一緒に頑張っていきましょう!

いいなと思ったら応援しよう!